各種の草根木皮をスピリッツで浸出してつくった苦味の強いリキュール。フランス語ではアメールamerといい、原義はともに苦味をさす。食欲増進用のアペリチフ、またカクテルなどの香味づけに使われる。オレンジビターズは、ビターオレンジピール(苦ミカン皮)を浸漬(しんし)してつくる。アンゴスチュラビターズは、ベネズエラ中部アンゴスチュラ町の軍医シーガートが創製したのでこの名があるが、今日ではトリニダード・トバゴでつくられている。ラムにアンゴスチュラ樹皮(ミカン科)、ニッケイ、キナ皮、レモン皮などを浸漬してつくる。アメール・ピコンはフランス産で、創製者のフランス軍人エタン・ピコンの名にちなむ。製法は明らかでないが、オレンジ果皮、ゲンチアン(リンドウ科)の根などからつくる。アルコール分27%。苦味の非常に強い黄褐色のリキュールである。ゲンチアンは、ヨーロッパの山岳地方や小アジアに自生するリンドウ科の植物で、その根からとった苦味はとくに評価が高く、各種のビターズに配合されている。
[秋山裕一・齋藤 浩]