患者の診療記録や病歴、禁忌薬、アレルギー情報、各種検査値などを電子データ化したカルテ。業務効率化のため各医療現場で普及が進んできた。厚生労働省の調査によると、2020年時点で病院の57・2%、診療所の49・9%で導入済み。医療機関によって電子カルテの形式が異なるため、厚労省は統一的な形式を設けて全国で情報を共有する仕組みづくりを進めている。
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医師、歯科医師による診療録(カルテ)や看護記録、その他の医療従事者による診療記録をデータベースとして一括して電子的に保存・管理し、各職種間で診療情報を共有して業務の効率化を図り、医療の質と安全性、患者サービスの向上につなげようとする医療情報管理・運営システムの総称。診療録・診療諸記録は医師法、歯科医師法によって5年の保存義務が規定されているが、1999年(平成11)に厚生省(現、厚生労働省)から「診療録等の電子媒体による保存について」という通知が出され、運用管理規程にそった電子保存が可能となって以来、急速に開発と導入が進められるようになった。こうした医療の情報化・データベース化によって、医療チーム内のそれぞれの職種および患者に最適な情報を選択的に効率よく検索できるようになり、効率的で質の高い診療が可能となる。また複数の医療機関の間でネットワーク経由でデータの共用が可能となり、相互の医療連携も促進されることになる。さらに、2006年(平成18)に内閣官房から示された「ITによる医療の構造改革」にうたわれるように、電子カルテシステムは「個人の健康情報を『生涯を通じて』把握できる基盤をつくり、国民が自らの健康情報を活用し健康増進に努めることや、保険者による高度な保健指導」も実現可能にする。これにそって「生涯カルテ」などの導入も検討されている。データベース化には,情報共有のために病名・検査・治療・処置など診療情報の標準コード化が不可欠で、加えて電子機器の精度の向上、ネット上の診療情報に関する守秘管理なども必要となる。標準コード化が実現すれば、診療の評価(クリニカルインディケーター、臨床評価指標)やクリティカルパス(ケアマップ、ケアの流れの標準化)の検討などが同じ条件のなかで容易となり、診療の質の向上が大いに期待される。
[編集部]
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