ビドル(その他表記)Biddle, Nicholas

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ビドル」の意味・わかりやすい解説

ビドル
Biddle, Nicholas

[生]1786.1.8. フィラデルフィア
[没]1844.2.27. フィラデルフィア
アメリカの金融資本家。第二合衆国銀行総裁 (在職 1823~36) 。イギリス,フランス公使歴任 (04~07) 後,経済誌の編集などに従事。 1823年政府任命理事として第二合衆国銀行総裁に就任。連邦財政収入の確保,通貨の安定,インフレの阻止などに成果をあげたが,銀行は,アメリカの急速な経済発展につれて信用,金融における集中的独占の傾向を強めて政界や新聞界にも強大な支配力をふるうようになった。このため西部南部の銀行や農民,労働者や大統領 A.ジャクソン対立。 32年の大統領選挙ではジャクソンの再選を妨げようとしたが,逆に再特許状の交付要請に「拒否教書」をもって報いられ,アメリカ市民の経済的自由の抑圧者,州権の侵害者として非難された。ジャクソンの再選後,一切の連邦政府資金を引揚げられて政府代行機関としての機能を奪われ,ビドル自身は破産者として晩年を終えた。

ビドル
Biddle, James

[生]1783.2.18. フィラデルフィア
[没]1848.10.1. フィラデルフィア
アメリカの海軍軍人ビッドルとして知られる。バーバリー戦争 (1801~05) 中,乗艦『フィラデルフィア』がトリポリ沖で座礁,19ヵ月間捕虜生活をおくった。アメリカ=イギリス戦争 (12) では『ワスプ』の副艦長としてイギリス艦『フローリック』を捕獲したが,奪回され捕虜となった。釈放後『ホーネット』を指揮してイギリス艦『ペンギン』と交戦。 1846年中国との最初の条約交渉にあたり,日本にも来航江戸幕府と折衝したが,拒否されて退去

ビドル
Biddle, John

[生]1615.1.14. 〈洗礼グロスター
[没]1662.9.22. ロンドン
イギリスの宗教改革者。ユニテリアン派の父と呼ばれる。聖書を重視し,聖霊の神性を否定する『十二論』 XII Arguments (1647) を発表して投獄された。さらに三位一体説を否定する文書を著わしたため迫害を受けつつも,説教や著述活動を続ける。 1662年ロンドンで捕えられ,獄死した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビドル」の意味・わかりやすい解説

ビドル
びどる
James Biddle
(1783―1848)

アメリカの東インド艦隊司令長官。1812~15年の第二次対英戦争(「1812年戦争」)で勇名を馳(は)せ、17年にはイギリスとのオレゴン係争でコロンビア川に出動、20年代にはカリブ海、南大西洋、地中海でアメリカ船舶保護の任務についた。46年東インド艦隊司令長官として浦賀に来航して通商を求めたが、浦賀奉行(ぶぎょう)の拒絶にあった。また同年、中国を訪れ、最初の米中条約の交渉にあたった。

[富田虎男]

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