六訂版 家庭医学大全科 「びまん性汎細気管支炎」の解説
びまん性汎細気管支炎(DPB)
びまんせいはんさいきかんしえん(DPB)
Diffuse panbronchiolitis
(呼吸器の病気)
どんな病気か
びまん性汎細気管支炎(DPB)は、気道と
この病気は、1969年に本間、山中らによって日本で初めて提唱されました。人種特異性が強く、日本、韓国、中国でみられ、欧米人での発症は極めてまれです。発病年齢は10~70代までと幅広いのですが、中年以降に多く、喫煙とはとくに関係はありません。
以前は、慢性気道感染により呼吸不全が進行し予後不良となることが多かったのですが、エリスロマイシンなどの14
原因は何か
明らかな病因は不明です。
症状の現れ方
症状は慢性の痰、
病状が進行すると、さらに痰の量が増加し、安静にしている時にも息切れが出現するようになり、呼吸不全になることもあります。
検査と診断
肺機能検査(スパイロメトリー検査)で1秒率(FEV1:努力性肺活量に対する1秒量の比率)が70%未満の気流閉塞が認められます。低酸素血症は比較的早くから認められ、重症になると高二酸化炭素血症を伴います。
血液検査では白血球の増加、CRPの陽性がしばしば認められ、寒冷凝集素値の持続高値が高い頻度で認められます。
胸部X線写真では、肺の
胸部CT検査では、びまん性の粒状影、分岐した線状陰影、気道の壁の肥厚や拡張像がはっきりと描き出され、診断上重要です。
区別するべき疾患としては、気管支喘息(ぜんそく)、
治療の方法
第一選択は、エリスロマイシンの少量長期投与です。それが効かない場合には、クラリスロマイシンなどの他の14員環系マクロライド薬が有効な場合もあります。いずれも、気道炎症を改善させる効果を目的に使用されます。
咳、痰や気道れん縮に対しては、喀痰調整薬の投与やネブライザーなどによる吸入療法、
また、病状が進行して呼吸不全になった場合には、在宅酸素療法が行われます。
病気に気づいたらどうする
咳や膿性(黄色~緑色)の痰が長く続く場合、とくに
吉見 格, 植木 純
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報