副鼻腔(読み)フクビクウ(その他表記)paranasal sinuses

デジタル大辞泉 「副鼻腔」の意味・読み・例文・類語

ふく‐びくう【副鼻×腔】

《「ふくびこう」とも》鼻腔に通じている頭蓋とうがい内の中空構造内面が鼻腔に続く粘膜で覆われている。
[補説]ヒトの副鼻腔には上顎洞篩骨洞前頭洞蝶形骨洞四つがある。

ふく‐びこう〔‐ビカウ〕【副鼻×腔】

ふくびくう(副鼻腔)

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精選版 日本国語大辞典 「副鼻腔」の意味・読み・例文・類語

ふく‐びこう‥ビカウ【副鼻腔】

  1. 〘 名詞 〙 ( 医学では「ふくびくう」 ) 鼻腔のまわりの骨の中にある四対の洞状構造で、鼻腔と通じている。

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改訂新版 世界大百科事典 「副鼻腔」の意味・わかりやすい解説

副鼻腔 (ふくびこう)
paranasal sinuses

医学的には〈ふくびくう〉と読む。鼻腔と交通していて,周囲の骨の中に発育した,空気で満たされた空間(含気腔という)をさし,上顎洞,篩骨(しこつ)洞,前頭洞,蝶形(ちようけい)洞の四つが顔面の各側に存在する。副鼻腔も年齢とともに発育する。出生時には小さいながらも上顎洞,篩骨洞,蝶形洞はあるが前頭洞は前部篩骨洞から発生し,3歳ころからみられるようになる。いずれもその発育は思春期を過ぎても続く。上顎洞sinus maxillarisは,頰部や口蓋の大部分を構成する上顎骨内にあり,最も大きな副鼻腔で成人男子で約13cm3,女子で12cm3容積を有する。したがって,上方眼窩(がんか),下方歯牙と密接な関係がある。篩骨洞sinus ethmoidalesは篩骨蜂巣(ほうそう)とも呼ばれ,6~20個の小さなハチの巣状の空間の集まりで,部位は両眼の間にあたる。鼻腔への交通路が中鼻道にあるものを前部篩骨洞,上鼻道にあるものを後部篩骨洞と呼ぶ。外側にあたる眼窩との境界は非常に薄いため紙様板と呼ばれる。前頭洞sinus frontalisは額からまゆ毛のあたりを構成する前頭骨内にあり,前部篩骨洞から発生してくるために,幼少時の炎症などによって発育が阻害されることが多く,全副鼻腔中,発育不全の率が最も高い。両側の前頭洞の発育不全は5%の人にみられる。蝶形洞sinus sphenoidalisはいちばん後方にある副鼻腔で,視神経や内頸動脈に近接し,後上方には下垂体が存在する。副鼻腔の内面は薄い骨粘膜から成り,その厚さは上顎洞で0.12mmといわれる。粘膜表面は鼻腔と同様に繊毛がみられ,その上にさらに粘液が層をなしてゆっくりと鼻腔との交通路(これを自然口という)に向かって流れていく。立っているときは,上顎洞や蝶形洞の自然口の位置はかなり上にあるため,繊毛の作用が衰えると分泌物が排出されなくなり,炎症が治りにくくなる。副鼻腔の炎症は副鼻腔炎と呼ばれ,うみが腔内にたまりやすいことから蓄膿症とも呼ばれる。副鼻腔の役割については,頭蓋骨の軽量化,共鳴腔,粘液の供給,外傷のショック緩衝装置など,さまざまな仮説が提出されているが,まだ確立されていない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「副鼻腔」の意味・わかりやすい解説

副鼻腔
ふくびくう

鼻腔を囲む周囲の骨内にみられる空気の腔所で、上顎洞(じょうがくどう)、前頭洞、篩骨洞(しこつどう)、蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)がある。これらはいずれも鼻腔に通じている。とくに上顎洞は副鼻腔炎をおこす箇所となる。

[嶋井和世]


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百科事典マイペディア 「副鼻腔」の意味・わかりやすい解説

副鼻腔【ふくびこう】

鼻腔を囲む骨内に発達した空洞。内部に空気を含み,内面は鼻粘膜の続きでおおわれる。前頭洞,篩骨(しこつ)洞,蝶(ちょう)形骨洞,上顎洞があり,上鼻道または中鼻道に開口する。そのうち上顎洞は最も大きく,蓄膿(ちくのう)症に最も冒されやすい。→

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「副鼻腔」の意味・わかりやすい解説

副鼻腔
ふくびくう
paranasal sinuses

鼻腔を取囲む骨の内部にある空洞のこと。前頭洞,篩骨洞,上顎洞,蝶形骨洞の4つが区別されている。それぞれ粘膜でおおわれた骨壁で囲まれているが,鼻腔とは狭い管で通じている。いわゆる蓄膿症はここに炎症性分泌物がたまった状態である。

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ダイビング用語集 「副鼻腔」の解説

副鼻腔

頭外骨内にある空間。軟らかい組織に囲まれていて、鼻と耳をつないでいる。

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世界大百科事典(旧版)内の副鼻腔の言及

【鼻】より

…鋤鼻器官はヒトを含む高等霊長類など一部のグループには欠けているが(ヒトでは発生過程で退化消失),その他の動物では鼻の底部正中面の近くにあり,二次口蓋を貫く鼻口蓋管で口蓋前部に1対の小孔として開く(高等霊長類では鼻口蓋管は痕跡化し,切歯管と呼ばれる)。また鼻腔の周囲の骨には,篩骨(しこつ)洞,上顎洞など最大13種もの空洞が付属し,これらを一般に副鼻腔という。それらの機能はほとんど知られていない。…

【鼻腔】より

…鼻甲介の間の陥凹は通常空気の通り道となるので鼻道meatus nasiと呼ばれ,鼻甲介に対応した名前がつけられている。中・上鼻道には副鼻腔との交通路が開く。鼻腔は呼吸の道として空気が出入する以外に,吸気を温めたり湿らせる空気調節作用がある。…

※「副鼻腔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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