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副鼻腔炎 ふくびくうえんparanasal sinusitis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

副鼻腔炎
ふくびくうえん
paranasal sinusitis

副鼻腔の炎症急性のものと,慢性に移行したものとがある。急性症では発熱,頭痛,鼻閉塞 (鼻づまり) が強く,色のついた膿性の多量の鼻汁が出る。慢性化したものは蓄膿症で,鼻汁量は減るが,頭重感,鼻閉塞,嗅覚障害に悩む人が多い。また,歯に起因する上顎洞炎は歯性上顎洞炎と呼ぶ。

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デジタル大辞泉の解説

ふくびこう‐えん〔フクビカウ‐〕【副鼻×腔炎】

ふくびくうえん(副鼻腔炎)

ふくびくう‐えん【副鼻×腔炎】

《「ふくびこうえん」とも》鼻の奥や副鼻腔などに起きる炎症。悪臭のある鼻汁や鼻詰まり、頭痛・発熱などの症状がみられる。慢性のものを蓄膿症ともいう。

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世界大百科事典 第2版の解説

ふくびこうえん【副鼻腔炎 paranasal sinusitis】

医学的には〈ふくびくうえん〉と読む。上顎洞炎など副鼻腔におこる炎症の総称。風邪その他のウイルス性疾患や虫歯,外傷などに引き続いておこる急性のものと,それらが慢性化したものとがある。一般には副鼻腔の化膿性感染をさし,結果として,副鼻腔と鼻腔の交通路(自然口)がほとんど閉鎖し,副鼻腔内に分泌物が貯留した状態となるため〈蓄膿症〉と呼ばれるが,最近ではより広い意味で副鼻腔炎と呼ばれることが多い。慢性副鼻腔炎は第2次大戦直後まで,きわめて多い病気で,国民の20%以上が罹患していたが,学校給食の開始をはじめ,栄養状態の改善により急速に減少した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

副鼻腔炎
ふくびくうえん

副鼻腔の炎症性病変の総称。副鼻腔は鼻腔を上から両外側を取り巻くように存在する骨の中の洞(どう)で、上顎(じょうがく)洞、篩骨(しこつ)洞(篩骨洞蜂巣(ほうそう))と、前頭洞、蝶形骨(ちょうけいこつ)洞の四つからなり、それぞれ鼻腔と狭い管または孔(あな)(自然孔(こう))で交通している。これらの洞の炎症性病変が副鼻腔炎であり、単一の洞に限られることもあるし、いくつかの洞がともに罹患(りかん)することもある。それぞれ罹患した洞の名称でよばれるが、ときにはすべての洞が侵され、これを汎(はん)副鼻腔炎という。大きく急性、慢性、気圧性の副鼻腔炎に分類される。[河村正三]

急性副鼻腔炎

鼻かぜやアレルギー性鼻炎の合併症として始まることが多い。炎症は自然孔を経て副鼻腔へ波及する。歯の炎症によって上顎洞炎がおこること(歯性上顎洞炎)もある。炎症による粘膜腫脹(しゅちょう)のために自然孔は狭くなり、洞内の炎症による分泌物は排出されにくく、やがて細菌の感染(化膿(かのう)性副鼻腔炎)をおこし、治癒が長引く。症状は発熱、倦怠(けんたい)感、感染した副鼻腔がある骨の疼痛(とうつう)ないし頭痛で、上顎洞炎、篩骨洞炎、前頭洞炎では頬(ほお)、鼻根部、前頭洞部に圧痛と浮腫を認めることがある。小児では症状がより著明で、生後3か月以内の乳児の上顎洞炎は上顎洞の発育が未発達のため、上顎骨骨髄炎の型となる。症状は突然の高熱、頬部(きょうぶ)腫脹、結膜浮腫、眼球突出などで、これを新生児上顎洞炎とよぶ。歯性上顎洞炎では悪臭のある鼻漏がみられる。治療は、全身的な抗生物質の投与、鼻内へ血管収縮剤などの塗布、冷罨法(あんぽう)、疼痛に対する鎮痛剤の投与が主となる。新生児上顎洞炎では手術が行われ、歯性上顎洞炎では歯の治療が必要である。[河村正三]

慢性副鼻腔炎

急性副鼻腔炎が完全に治癒せず慢性化したものが多いため、細菌感染による化膿性副鼻腔炎が多くみられる。洞内に膿が貯留しているので、蓄膿症と俗称されることがある。ときに洞の中がチーズ様の物質で充満されていること(乾酪(かんらく)性副鼻腔炎)があり、老人に多くみられ、真菌感染による。症状は鼻漏、後鼻漏、鼻閉、頭重感、頭痛、罹患した副鼻腔上の鈍痛、嗅覚(きゅうかく)脱失などで、その程度や性質は種々ある。治療は、鼻内へ血管収縮剤などの塗布、洞または鼻の洗浄、局所または全身的な抗生物質や抗炎症剤の投与を行うが、鼻茸(はなたけ)がある場合はその摘出を行ってから治療するのがよい。ときには根治的手術が必要なこともある。小児の慢性副鼻腔炎は予後がよく、思春期までに50%は自然治癒する。[河村正三]

気圧性副鼻腔炎

外界の気圧と副鼻腔内圧が異なることが原因で、飛行や潜水で気圧が急に変化したときに副鼻腔の自然孔が炎症や鼻茸などで閉鎖しているためにおこる。鼻かぜをひいているときに航空機に乗って罹患する例が多い。航空機が降下または上昇する際に前頭部や頬部に激しい疼痛を感じ、その疼痛が残存する。治療は、鼻内へ血管収縮剤などを塗布し、副鼻腔の自然孔を開放する。予防として、鼻かぜや上気道炎症、とくに鼻茸のある場合は飛行を避ける。治癒が長引くと、細菌感染をおこして化膿性副鼻腔炎に移行する。[河村正三]

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世界大百科事典内の副鼻腔炎の言及

【気管支炎】より

…しかし原因は大気汚染以外にもさまざまあり,喫煙や,感染をきっかけとしたものも多い。内的要因としては,加齢や,体質素因とくに慢性副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)があげられる。国によっても発生頻度は異なる。…

【頭骨】より

…上顎洞の粘膜と鼻腔の粘膜が連なるところが上顎洞の口で,この口の位置が少し高いところにあるため,たまった膿がぬけにくい。上顎洞は副鼻腔のうちで最もよく副鼻腔炎を起こすところであり,また歯根に近いため,歯の病気からも,よく炎症を起こす。切歯骨os incisivum[ラテン]上顎骨の前部を占める1対の骨で,間顎骨または顎間骨ともいう。…

【副鼻腔】より

…立っているときは,上顎洞や蝶形洞の自然口の位置はかなり上にあるため,繊毛の作用が衰えると分泌物が排出されなくなり,炎症が治りにくくなる。副鼻腔の炎症は副鼻腔炎と呼ばれ,うみが腔内にたまりやすいことから蓄膿症とも呼ばれる。副鼻腔の役割については,頭蓋骨の軽量化,共鳴腔,粘液の供給,外傷のショック緩衝装置など,さまざまな仮説が提出されているが,まだ確立されていない。…

※「副鼻腔炎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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