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共沸蒸留 きょうふつじょうりゅうazeotropic distillation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

共沸蒸留
きょうふつじょうりゅう
azeotropic distillation

共沸混合物の成分を完全に分離する蒸留法。共沸混合物をつくるような成分の混合物は普通の蒸留では純粋な成分に分離できないので,これらの成分と別の共沸混合物をつくるような溶媒を加え,新しい共沸点がもとの共沸点よりも十分に低くなるようにして蒸留し,蒸留残留物が純粋な成分となるようにする。たとえば水を含むエチルアルコールは共沸混合物をつくり,単なる精留では共沸混合物に相当するエチルアルコール (約 95%) しか得られない。しかしこれにベンゼントリクロロエチレンを加えて蒸留し,より低沸点の3成分共沸混合物として水分を除くことで,純エチルアルコールを得ることができる。

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百科事典マイペディアの解説

共沸蒸留【きょうふつじょうりゅう】

共沸混合物あるいは沸点が接近しているため分離困難な液体混合物などを分離するために用いられる蒸留法の一種。原液中の一つまたはそれ以上の成分と共沸混合物をつくる第3成分を添加して蒸留する。
→関連項目蒸留

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世界大百科事典 第2版の解説

きょうふつじょうりゅう【共沸蒸留 azeotropic distillation】

エチルアルコール(沸点78.32℃)は水(沸点100℃)と最低共沸混合物(共沸点78.17℃,エチルアルコール96重量%)をつくる。共沸混合物では液とそれに平衡な蒸気とが同じ組成であるので,普通の蒸留ではエチルアルコールをこれ以上の濃度にすることはできない。しかし,蒸留塔の塔頂からベンゼン(沸点80.099℃)を供給すると,ベンゼンと水とが共沸点69.25℃の共沸混合物をつくり,塔頂へと水を持ち上げてくれるようになり,塔底からは純粋のエチルアルコール,すなわち無水アルコールが得られる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

共沸蒸留
きょうふつじょうりゅう
azeotropic distillation

通常の蒸留では分離が困難か不可能な液体混合物を分離するために、第三成分(共沸剤entrainer)を加え、不均一の共沸混合物を生成させて行う蒸留をいう。共沸剤としては、液体混合物中の成分と沸点の低い共沸混合物をつくるものが選ばれ、生成した共沸混合物は塔頂より留出し、共沸剤は適当な方法で分離回収され循環使用される。古くはアルコールの脱水に共沸剤としてベンゼンを用いた例や、酢酸―水系の分離に共沸剤として酢酸ブチルを用いる例がある。なお、抽出蒸留の際に加える第三成分は溶剤といい、沸点の高いものが選ばれ、塔底から取り出される点が共沸剤と対照的である。[早川豊彦]

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世界大百科事典内の共沸蒸留の言及

【蒸留】より

… ある種の混合物のある組成においては,液の組成とそれに平衡な蒸気の組成が等しくなることがあり,これを共沸混合物と呼んでいる。このような場合には普通の蒸留では純粋な成分に分離することができないので,抽出蒸留とか共沸蒸留によって分離を行っている。また,水に溶解しにくい物質の精製には,液の中に直接水蒸気を吹き込んで蒸留を行うことがある。…

※「共沸蒸留」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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