日本大百科全書(ニッポニカ) 「メレディス」の意味・わかりやすい解説
メレディス
めれでぃす
George Meredith
(1828―1909)
イギリスの小説家、詩人。ポーツマスで仕立屋の子として生まれる。青年時代ドイツで教育を受け、のち法律家を志したが文学の世界に転向した。小説家ピーコックの娘で年上の未亡人と結婚したが、夫婦仲はうまくいかず、やがて妻は若い男と駆け落ちした。1851年に最初の詩集を、55年には奇想天外な物語『シャグパットの毛剃(けぞ)り』を発表、一部からは注目されたが、一般読者からは認められず、したがって生活は苦しかった。59年、小説『リチャード・フィベレルの試練』で広く認められ、その後『エゴイスト』(1879)、『十字路のダイアナ』(1885)などにより作家の地位は確立、『喜劇論』(1877講演、1897刊)などの評論も書き、また出版社の顧問として無名の新人発掘に貢献するなど、晩年はイギリス文壇の大御所的地位についた。しかし彼の作品は難解であるために、終生多数の読者を得ることはなかった。ところが本国人でも読みにくいメレディスを愛読し、それを完全にわが血肉としたのが夏目漱石(そうせき)で、『虞美人草(ぐびじんそう)』『草枕(くさまくら)』などの作品に、はっきりとその影響を読み取ることができる。
[小池 滋]
『相良徳三訳『喜劇論』(岩波文庫)』