日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファイサル」の意味・わかりやすい解説
ファイサル
ふぁいさる
Fayal bn.‘Abd al-‘Azīz
(1905―1975)
サウジアラビアの第3代国王(在位1964~1975)。初代国王アブドゥル・アジズ(イブン・サウド)の息子。第2代サウド王の実弟。幼少時から父の統一国家建設事業に参加する。1927年ヒジャーズ州副王に就任する。1928年父王の対外関係業務の処理を行う事実上の外相となる。1953年父王の死により兄サウドが国王に即位すると、次期王位継承者に指名され、副首相兼外相に就任した。1950年代末サウド王の失政によってもたらされた財政危機を再建する過程で政治上の実権を掌握し、1964年11月兄王にかわって第3代国王に即位した。その後、イスラム国家としての近代化を図るとともに親米・反共路線を推進した。対アラブ政策では穏健派の主導権確立を図り、1967年の第三次中東戦争後は親米型の「カイロ・リヤド枢軸」を成立させた。1973年の第四次中東戦争では石油戦略を主導し、アラブの団結を図ろうと試みた。1975年3月25日、甥(おい)の凶弾に倒れた。
[木村喜博]