日本大百科全書(ニッポニカ) 「ファルコネ」の意味・わかりやすい解説
ファルコネ
ふぁるこね
Étienne-Maurice Falconet
(1716―1791)
フランスの彫刻家、美術理論家。パリに生まれ、ルモワーヌに学び、1754年アカデミー会員。57年、ポンパドゥール夫人によってセーブルの国立磁器工場の彫刻主任に任命され、66年まで、自ら原作を製作したビスキュイ(素焼)の彫像の生産を監督した。こうして甘美で官能的なフランス・ロココ美術の精華が、全ヨーロッパに広まることとなった。66~78年、エカチェリーナ2世の招きでペテルブルグに赴く。同地に製作したピョートル大帝のブロンズ騎馬像では、両の前足を高くあげる馬と、それを御する皇帝の姿に劇的で壮大な造形表現をみせている。オランダなどを経て80年帰国。『彫刻論』(1761)、またディドロとの往復書簡には、古代の作品に比べて当代の芸術は遜色(そんしょく)ないという、彼の主張がよく示されている。
[上村清雄]