フェリハイドライト(読み)ふぇりはいどらいと(その他表記)ferrihydrite

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フェリハイドライト」の意味・わかりやすい解説

フェリハイドライト
ふぇりはいどらいと
ferrihydrite

酸化第二鉄鉱物の一つ。これまでの考え方として、水酸化第二鉄の一般式をmFe2O3・nH2Oとし、mおよびnは比較的小さい数字で与えられるという概念が保持されてきたが、1973年に新鉱物として記載されたこの鉱物では5Fe2O3・9H2Oという大きな数字であることが判明した。世界的に広く分布しているが、結晶度の高いものが得られず、同定は比較的困難である。酸化の進んだ土壌風化された岩石の可溶性成分の中に含まれ、また冷泉・温泉の沈殿物、とくに鉄バクテリア(Fe2+をFe3+に酸化する際に得られるエネルギーで生存する細菌類)の生活産物、あるいは鉱山跡の堆積(たいせき)物中の構成成分をなす。日本で確実なものは、熊本県阿蘇(あそ)山山麓(さんろく)の湖沼堆積物中から産する。きわめて微細な低結晶度の粒子をなす。命名は化学成分に由来する。

加藤 昭]


フェリハイドライト(データノート)
ふぇりはいどらいとでーたのーと

フェリハイドライト
 英名    ferrihydrite
 化学式   Fe3+5O3(OH)9
 少量成分  ―
 結晶系   六方
 硬度    微細粒のため未測定
 比重    3.80
 色     黄褐~暗褐
 光沢    土状
 条痕    黄褐
 劈開    未記載
       (「劈開」の項目を参照

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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