ソーン(読み)そーん(英語表記)Kip Thorne

デジタル大辞泉 「ソーン」の意味・読み・例文・類語

ソーン(sone)

音の大きさを主観的に表す単位。1ソーンは、ふつうの人が聞く1000ヘルツ、40デシベルの音の大きさの感じ。

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精選版 日本国語大辞典 「ソーン」の意味・読み・例文・類語

ソーン

  1. 〘 名詞 〙 ( sone ) 音響の強さの単位。音の大きさを主観的に表わす単位で、ふつうの人が聞く一〇〇〇ヘルツ、四〇デシベルの音の大きさの感じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ソーン」の意味・わかりやすい解説

ソーン
そーん
Kip Thorne
(1940― )

アメリカの理論物理学者、宇宙物理学者。ユタ州ローガン生まれ。1962年カリフォルニア工科大学(CIT、Caltech(カルテック))卒業、1965年プリンストン大学で博士号を取得した。2年の博士研究員を経て、1967年にカリフォルニア工科大学準教授、1970年に同大学の理論物理学の教授となった。2009年から同大学名誉教授。

 ソーンは、アインシュタインの共同研究者である相対性理論の大家ジョン・アーチボルト・ホイーラーJohn Archibald Wheeler(1911―2008)の薫陶を受け、1960年代からブラックホール、パルサー星から発せられる重力波などに関する理論研究に取り組んだ。重力波を検出するための数学方程式を構築。1976年、当時グラスゴー大学にいた(のちにカリフォルニア工科大学教授、同名誉教授)実験物理学者のロナルド・ドレーバーRonald Drever(1931―2017)と共同で、カリフォルニア工科大学の重力波検出実験にもかかわった。また、マサチューセッツ工科大(MIT)教授のレイナー・ワイスとは異なる仕組みのレーザー光干渉計を開発した。重力波検出には、巨大な施設が必要なことからMITのグループと合流し、ワイス、ドレーバーとともに3人で、1989年にレーザー干渉計重力波観測天文台「LIGO(ライゴ)」(Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory)計画を立ち上げた。人間関係のもつれからドレーバーはLIGOを去り、1997年にLIGO計画全体を率いるディレクターに、高エネルギー物理学の実験家でもあるカリフォルニア工科大学教授のバリーバリッシュが就任。2002年から始まった、長さ4キロメートルのパイプ2本が直交するL字型の巨大施設LIGOによる観測の結果はなかなか出なかった。しかし検出感度を高め改良した「Advanced LIGO(アドバンスドライゴ)」の本格運用を始める数日前の2015年9月14日に、約13億年前に二つのブラックホールの合体で生じた重力波の観測に成功した。ワシントン州のハンフォードとルイジアナ州リビングストンの2か所に設置されたLIGOが、わずか7ミリ秒の時間差で重力波をとらえたのである。この重力波観測の成功は、ブラックホールの性質や宇宙誕生直後のようすなどを解明する重力波天文学の幕開けを告げる快挙となった。

 ソーンは、若手研究者育成にも力を注ぎ、50人を超える博士を送り出したほか、一般向けの啓蒙(けいもう)活動にも尽力。ブラックホール、宇宙論の歴史などを平易なことばでまとめた『ブラックホールと時空の歪(ゆが)み アインシュタインのとんでもない遺産』(原題Black Holes and Time Warps: Einstein's Outrageous Legacy)の著者として日本でも知られる。クリストファー・ノーランChristopher Nolan(1970― )監督のSF映画『インターステラー』(2014)の製作総指揮などにもかかわった。

 2009年アインシュタイン賞、2016年LIGOチームとしてグルーブ賞、カブリ賞。2017年「LIGOへの決定的な貢献と重力波の観測」により、レイナー・ワイス、バリー・バリッシュとノーベル物理学賞を共同受賞した。

玉村 治 2018年2月16日]

『林一、塚原周信訳『ブラックホールと時空の歪み アインシュタインのとんでもない遺産』(1997・白揚社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ソーン」の意味・わかりやすい解説

ソーン
Thorne, Kip S.

[生]1940.6.1. ユタ,ローガン
アメリカ合衆国の物理学者。1962年カリフォルニア工科大学で物理学の学士号,1963年プリンストン大学で修士号,1965年博士号を取得。1966年以降カリフォルニア工科大学に勤務し,1970年教授,2009年名誉教授。1970年代からアメリカの物理学者でマサチューセッツ工科大学のレイナー・ワイスとともに,アルバートアインシュタイン一般相対性理論で存在を予測した重力波の直接観測を試み,長さ数kmに及ぶ巨大な L字型アーム内でのレーザー光干渉(→干渉計)を利用して,重力波による空間の伸縮を検知するレーザー干渉計重力波天文台 LIGO(ライゴ)の建設を構想,同僚であるイギリスの物理学者ロナルド・ドレーバーを加え 1984年にプロジェクトを立ち上げた。LIGOは 1994年にワシントン州ハンフォードとルイジアナ州リビングストンで建設が始まり 2002年に完成,その後改良が加えられ,2015年9月14日に重力波を検出した。2017年「LIGOへの貢献と重力波の観測」により,ワイス,1994年に LIGOの研究責任者に就任したアメリカの物理学者バリー・C.バリッシュとともにノーベル物理学賞(→ノーベル賞)を受賞。著書に『ブラックホールと時空の歪み――アインシュタインのとんでもない遺産』Black Holes and Time Warps: Einstein's Outrageous Legacy(1994)など。

ソーン
Soane, Sir John

[生]1753.9.20. ゴーリング
[没]1837.1.20. ロンドン
イギリスの建築家。 G.ダンスおよび H.ホランドの事務所で建築を学び,1776年ロイヤル・アカデミーの金賞を獲得。 78~80年イタリアへ遊学,古典建築についても研究。帰国後住宅をおもに設計していたが,88年イングランド銀行の建築家に任命された。これは長期にわたる彼の作で,コンソル公債局 (1797) ,配当局 (1818~23) ,ティボリ・コーナー (05) は特に有名。ほかにダリッジ・アートギャラリー (11~14) ,ソーン自邸 (12,現ソーン博物館) がある。きびしく古典主義の原則を貫きながら無装飾の壁面を大胆に用いたり,また彼独自のオーダーを用いるなど独特の作風を示している。 1806~36年ロイヤル・アカデミー教授。主著"Design in Architecture" (1778) 。

ソーン
sone

音の大きさの感じを表わす単位。記号は sone。正常な聴者が 1kHz,40dB,すなわち大きさのレベル 40phonの音を聞いたときの大きさの感じを 1soneとする。その N倍の大きさと感じられる音を Nソーンとする。 Nソーンと Pフォンの関係は log 10N=0.03(P-40) である。単位名はラテン語のソニツス (音) に由来する。 (→音の大きさ , フォン )  

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改訂新版 世界大百科事典 「ソーン」の意味・わかりやすい解説

ソーン
John Soane
生没年:1753-1837

イギリス新古典主義の建築家。レディング近郊生れ。G.ダンスなどアダム兄弟に続く世代の建築家のもとで修業後,国王ジョージ3世に派遣されて1778年イタリアへ留学。パエストゥムの古代ギリシア神殿の簡素さと力強さから深い感銘を受ける。80年帰国後は,おもに邸宅を手がけた。88年にイングランド銀行の主任建築家に任命され,古典主義を基礎に,構造を率直に表現したアーチとドームによる大胆な空間構成を追求。ほかに,ロンドンの自邸(1813。現,サー・ジョン・ソーン美術館)やダリジ・アート・ギャラリー(1814)は,変化に富む平面計画を特徴とし,ピクチュアレスクの影響をよく示す。教育・啓蒙活動にも深くかかわり,1806年より王立美術アカデミーで建築学を講じ,さらに建築家協会(現,英国王立建築家協会,RIBA)の設立(1834)に際しては基金を提供した。
執筆者:

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世界大百科事典(旧版)内のソーンの言及

【イングランド銀行】より

…同行の運営は正副総裁と4人の理事からなる専務理事会にゆだねられることが多く,そのもとで,約7000人の職員が,業務,国債,為替,情報,海外,文書,秘書,監査,経営診断,紙幣印刷の10局(および8支店)に配属されている。【関口 尚志】
[建築]
 本店は最初,1732‐34年にG.サンプソンにより建設されたが,88年からJ.ソーンによって現在の建物が建てられた。窓を外に開かず堅固に防備し,天窓から採光する浅いドームを頂く室内の多くは,イギリス新古典主義の代表例。…

※「ソーン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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