ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フォーセット」の意味・わかりやすい解説
フォーセット
Fawcett, Henry
[没]1884.11.6. ケンブリッジ
イギリスの経済学者,政治家。 1863年ケンブリッジ大学教授となり,65年自由党下院議員,80年グラッドストン内閣の逓信相をつとめ,小包郵便制度を設けた (1882) 。主著"A Manual of Political Economy" (63) は J.S.ミルの『経済学原理』の通俗的解説版として,限界革命以降の新しい経済学が普及するまでかなりの読者を獲得。著述を助けた夫人 M.フォーセットにも経済学の入門書"Political Economy for Beginners" (70) がある。上記のほか"The Economic Position of British Labourer" (65) ,"Pauperism,Its Causes and Remedies" (71) などがある。
フォーセット
Fawcett, Dame Millicent Garrett
[没]1929.8.5. ロンドン
イギリスの女性参政権運動の指導者。ヘンリー・フォーセットの夫人。1867年の結婚後,女性参政権運動に取り組み,1897年女性参政権協会全国同盟 NUWSSの会長。エメリン・パンクハーストらの戦闘的な運動には反対で,愛国的路線をとった。アイルランド自治に反対。南アフリカ戦争中,政府派遣の調査員としてボーア人の非戦闘員収容所に関するレポートを送った。第1次世界大戦中は,フォーセットの指導する組織全体がイギリス国家を支える姿勢をとった。1918年国民代表法が通過し,その組織が平等市民権全国連合になった 1919年に引退。デイムの称号を授与された。
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