フユサンゴ(その他表記)Jerusalem cherry
Solanum pseudo-capsicum L.

改訂新版 世界大百科事典 「フユサンゴ」の意味・わかりやすい解説

フユサンゴ
Jerusalem cherry
Solanum pseudo-capsicum L.

ナス科の常緑性低木。ブラジル原産。紅熟する果実を観賞するため栽培される。日本では鉢栽培が行われ,草本として扱われる。タマサンゴともいう。よく分枝してこんもりと茂り,本来は高さ1m以上にもなる。披針形の葉を互生葉腋ようえき)に白色の小さい星形5弁花が生育とともに咲き続ける。花後,果実は球形に肥大しサクランボ大となり,初め緑色であるが,のちに美しく紅熟する。品種によっては,初め白色でのちに紅熟するものもある。夏のころから次々と紅熟を始め,冬まで脱落をしない。実生,または挿木により繁殖する。半耐寒性で,暖地では庭植えにして楽しむこともできるが,冬季の最低気温が-2℃以下になると枯死しやすい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フユサンゴ」の意味・わかりやすい解説

フユサンゴ
ふゆさんご / 冬珊瑚
[学] Solanum pseudocapsicum L.

ナス科(APG分類:ナス科)の常緑または半落葉の小低木。高さ1~1.5メートル、よく枝分れし、小枝は緑色。葉は互生し、長楕円(ちょうだえん)形または披針(ひしん)形で長さ5~10センチメートル、先は丸みを帯びて基部は狭まり、縁(へり)は波状、表面は光沢がある。7~9月、葉と対生して、1~数個の白色花を開く。花冠は杯(さかずき)状で5中裂し、径1~1.5センチメートル、裂片は広披針形で平開する。液果は球形で径約1.2センチメートル、11月ころ鮮紅色に熟して美しく、成熟したのちも樹上に長く残る。名は、この果実をサンゴに見立てたもので、別名タマサンゴともいう。ブラジル原産で、明治中期に渡来した。品種に果実が橙(だいだい)色のものや矮性(わいせい)のものがある。鉢植えにして観賞するほか、切り花用にもする。繁殖は挿芽による。

小林義雄 2021年7月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フユサンゴ」の意味・わかりやすい解説

フユサンゴ
Solanum pseudocapsicum; Jerusalem cherry

ナス科ソラヌム (ナス) 属の常緑低木。アジア,アフリカの熱帯地方原産で,観賞用に鉢栽培される。通常,高さは 30cm前後であるが,露地植えにすると 50~100cmに達する。葉は披針形から長楕円形で互生。葉縁はやや波打つ。直径 1.5cmの白い花は観賞価値はあまりないが,直径 2cm程度の球形の果実は,淡黄緑色から橙色,赤色へと変化し,秋から冬にかけて長く落果しない。春に種子をまき,十分日に当てて育てる。じょうぶで育てやすいが,窒素分の多い肥料を与えすぎると,葉ばかり茂って実つきが悪くなる。関東地方の平野部では露地で越冬する。

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