フランス建築(読み)フランスけんちく(英語表記)French architecture

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フランス建築」の意味・わかりやすい解説

フランス建築
フランスけんちく
French architecture

ケルト人の竪穴住居時代を経て,ローマ占領時代に闘技場などの建築を残したが,キリスト教文化の移入とともに,バシリカ式の聖堂建築が発達し,東方の影響を受けつつしだいに大規模な聖堂が建てられた。ロマネスク期には各地に風土的特色をもつ建築が現れ(→ロマネスク建築),ゴシック期にいたって,12世紀後半にはパリのノートル・ダム大聖堂シャルトル大聖堂ランス大聖堂アミアン大聖堂などの壮麗な大聖堂が建てられ,フランス建築の壮大さを国際的にとどろかせた(→ゴシック建築)。さらにイタリアの影響下のルーブル宮殿などルネサンス期の宮廷建築を経て(→ルネサンス建築),バロック期の華麗な宮廷建築であるベルサイユ宮殿が生まれたが,フランスの場合,古典主義的な性格が根強く残るのが特徴である(→バロック建築)。ロココ期には華美繊細な室内装飾文化が展開するが(→ロココ美術),これに対して新古典主義による重厚なパンテオンエトアール凱旋門が建造された。19世紀後半には,アレクサンドル=ギュスターブ・エッフェル,オーギュスト・ペレなどが近代建築基盤をつくり,その後,ル・コルビュジエはフランスを中心に国際的に活躍し,世界の近代建築に最も大きな影響を与えた。近年においてはレンゾ・ピアノとリチャード・ロジャーズによるジョルジュ・ポンピドー国立芸術文化センター(1977)を皮切りに,パリ中心部および郊外で先鋭的な建築が展開している。

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