ランス大聖堂(読み)ランスダイセイドウ(その他表記)Cathédrale, Reims

デジタル大辞泉 「ランス大聖堂」の意味・読み・例文・類語

ランス‐だいせいどう〔‐ダイセイダウ〕【ランス大聖堂】

Cathédrale Notre-Dame de Reimsフランス北東部、グラン‐エスト地方、マルヌ県の都市ランスにある大聖堂シャルトル大聖堂アミアン大聖堂に並ぶ同国屈指のゴシック様式聖堂として知られる。13世紀から14世紀にかけて建造され、歴代フランス国王が戴冠式を行った。1991年、付近にあるサンレミ聖堂トー宮殿とともに、世界遺産文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ランス大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ランス大聖堂 (ランスだいせいどう)
Cathédrale, Reims

フランス北部,ランスの大聖堂。正称はノートル・ダムNotre-Dame。シャルトルアミアンの大聖堂とともに,盛期ゴシック建築の典型であり,それらのなかでも最も優雅で統一感のある様式をみせる。同大聖堂ではクロービス以来ほとんどすべてのフランス王の戴冠式が行われ,ジャンヌ・ダルクもここで失意の王シャルル7世を戴冠させた。

 建造は,5世紀,9世紀,12世紀と行われたが,現在の建物は1210年の火災の後に再建されたもので,内陣部は1241年に完成された。西正面の双塔は14世紀に建造されたが,北塔は1427年の完成。建築家はアダンAdam,ジャン・ドルベJean d’Orbaisほか3人の名前が知られる。第1次大戦中の砲撃で身廊とそれを飾るステンド・グラスが破壊を受けたが,1938年に修復が完了した。画家シャガールによる内陣東端のステンド・グラスは,同大聖堂の新しい顔を伝えている。しかし何よりもランス大聖堂に輝きを与えているのは,扉口を飾る彫刻群である。とくに中央扉口に表現された〈聖母マリアのエリザベツ訪問〉に見られる,聖母のギリシア彫刻を想起させるような古典的容貌は,盛期ゴシック彫刻の頂点(1230ころ)をなす理想美を見せている。また,〈受胎告知〉の天使に見られるわずかの微笑や優雅な姿態は,盛期ゴシック彫刻の後半期(1250ころ)に現れる情感表現である。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ランス大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ランス大聖堂
らんすだいせいどう
Cathédrale de Reims

フランス北東部、マルヌ県の副県都ランスにあり、シャルトル、アミアンの両大聖堂と並ぶ典型的なフランス・ゴシック聖堂の一つ。歴代フランス国王の多くが戴冠式(たいかんしき)を挙行した名刹(めいさつ)としても有名である。現存の建物はメロビング朝カロリング朝に次いで、1210年の三度目の火災ののち建立されたものである。設計者はジャン・ドルベであろうといわれる。1211年に着工され、内陣と翼廊は1241年ごろ、身廊は1285年ごろ、そして西ファサードは14世紀に入って完成された。平面は三廊式身廊、三廊式翼廊、および五つの礼拝堂をもつ内陣部から成り立つが、礼拝堂が放射状に配列された内陣部の設計はイギリスの戴冠式聖堂ウェストミンスター寺院に反映している。ヨーロッパ中世を通じて最高の傑作とみなされる西ファサードの三つの玄関口の側面は、それぞれ大小の彫像で装われ、バラ窓の上部には歴代国王の立像がそれぞれニッチ(壁龕(へきがん))に納められ、いずれもフランス・ゴシック彫刻の代表例として知られている。側面の控壁(ひかえかべ)は横圧を支える構造上の役割を果たすとともに、大聖堂全体の構成にアクセントをもたせ、外観効果を高めている。なお、この聖堂は付近にあるサン・レミ教会、トウ宮殿とともに、1991年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。

[濱谷勝也]


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百科事典マイペディア 「ランス大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ランス大聖堂【ランスだいせいどう】

フランスのランスにある大聖堂で,正称ノートル・ダム。現在の建物は1210年の火災後に再建されたもの。西側ファサードは14世紀に建造されたが,全体が完成したのは15世紀前半。正面双塔は高さ80m。シャルトル大聖堂とともにフランスの代表的盛期ゴシック建築とされ,またこれを飾る《聖母伝》や《最後の審判》などの彫刻群で名高い。歴代フランス王の戴冠式が行われる大聖堂としても知られる。1991年世界文化遺産に登録。
→関連項目ウェストミンスター・アベーゴシック美術ランス

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ランス大聖堂」の意味・わかりやすい解説

ランス大聖堂
ランスだいせいどう
La Cathédrale Notre-Dame, Reims

フランスのランスにあるゴシック期の代表的聖堂。 400年頃創建され (初めの名はサン・ニケーズ大聖堂) ,その後増改築されたが,現在のものは 1210年の大火後,J.ドルベの設計により再建され,1311年に完成した。シャルトル大聖堂の様式を発展させた大聖堂で,身廊部の高さは 38m,側面の壁はアーケード,トリフォリウム,高窓の3層から構成されている。大聖堂内外を飾る彫刻群はゴシック様式を代表するものである (→ゴシック美術 ) 。またタペストリーおよび宗教美術品を数多く収蔵していることでも著名。カロリング朝時代以来,フランス歴代の王が戴冠式をあげたことで知られる。 1991年サン・レミ聖堂,大司教公邸のトウ宮殿とともに,世界遺産の文化遺産に登録。

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世界の観光地名がわかる事典 「ランス大聖堂」の解説

ランスだいせいどう【ランス大聖堂】

フランス北部のシャンパーニュ地方の中心都市ランス(Reims)にあるカトリックの大聖堂(カテドラル)。ゴシック建築の傑作と評されている。この聖堂は13世紀始めに着工し、内陣を含むその基本部分は13世紀末までに、ファザードは15世紀に完成した。18世紀末のフランス革命の混乱の中で、多くの彫像が破壊され、また、第一次世界大戦中の1914年にはドイツ軍の空爆を受けて一部焼失したが、その後20年の歳月をかけて修復された。ファザード部の彫刻、彫像の美しさで知られ、特に「微笑みの天使」と呼ばれる彫刻が有名である。また、聖堂内部には20世紀の代表的な画家シャガール(Marc Chagall、1887~1985年)のステンドグラスがある。また、歴代フランス国王の戴冠式が行われた聖堂としても有名である。市内の聖レミ教会堂とともに世界遺産に登録されている。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ランス大聖堂」の解説

ランス大聖堂(ランスだいせいどう)

フランス北東部の司教座都市ランスの大聖堂。クローヴィスが496年にランス大司教から洗礼を受けて以来,歴代フランス王の戴冠式はここで行われた。現在に残る建物は,13世紀ゴシック建築の傑作の一つで,世界遺産に登録されている。

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旺文社世界史事典 三訂版 「ランス大聖堂」の解説

ランス大聖堂
ランスだいせいどう
Reims Cathédrale

フランスのランスにあるゴシック様式建築の代表
1241年に完成。正面ばら窓のステンド−グラスや彫像群も有名。第一次世界大戦中,ドイツの爆撃にあった。

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世界大百科事典(旧版)内のランス大聖堂の言及

【ビオレ・ル・デュク】より

…フランスの修復建築家,建築史家,建築理論家。パリ生れ。エコール・デ・ボザール(国立美術学校)を忌避して独学で建築を学び,文化財保護技監であったP.メリメに認められてベズレーのラ・マドレーヌ教会の修理に当たった。ついで老練の建築家ラッシュスJean‐Baptiste Lassusとともに,1845年よりパリのノートル・ダム大聖堂の修復工事を担当してその地位を固めた。その後,文化財保護委員会委員,宗務省の建築技監として活躍し,シャルトル,ランス,アミアンなどの大聖堂やカルカソンヌ市の城壁,ピエールフォン城(ナポレオン3世の命による)などの修復に当たった。…

※「ランス大聖堂」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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