フロックス(読み)ふろっくす

デジタル大辞泉 「フロックス」の意味・読み・例文・類語

フロックス(〈ラテン〉Phlox)

ハナシノブ科フロックス属の植物の総称。二年草または多年草で、北アメリカを中心に約50種が知られ、日本ではクサキョウチクトウシバザクラなどが栽培される。 夏》

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精選版 日本国語大辞典 「フロックス」の意味・読み・例文・類語

フロックス

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] phlox ) ハナシノブ科クサキョウチクトウ属の学名で、この属に含まれる植物の総称。北アメリカシベリアに約五〇種ある。多年草、まれに一年草。葉は単葉で対生。花は筒状ないし漏斗状で細長い筒部を持ち、先は五裂して平開する。観賞用に栽培されるものが多い。キキョウナデシコ、シバザクラなどがある。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フロックス」の意味・わかりやすい解説

フロックス
ふろっくす
[学] Phlox

ハナシノブ科(APG分類:ハナシノブ科)フロックス属の総称。一年草または多年草。耐寒性のものが主であるが、半耐寒性のものもある。葉は全縁で対生するが、上部で互生となることもある。花は葉腋(ようえき)に単生、または茎頂に叢生(そうせい)し、集散花序または円錐(えんすい)花序をなす。花色は緋紅(ひこう)、青、桃、白色などで、萼片(がくへん)は細長い釣鐘形で先端は5裂する。北アメリカに約50種、シベリアに1種分布する。高性の多年草であるオイランソウ(花魁草)P. paniculata L.や一年草のキキョウナデシコ(桔梗撫子P. drummondii Hook.、ロック・ガーデンや庭植えなどに多く利用されるシバザクラ(英名モス・フロックス)P. subulata L.をはじめ、匍匐(ほふく)性のものから直立矮性(わいせい)種まで、多くの種類が知られる。花壇、鉢植え、切り花用と利用法も多い。オイランソウはクサキョウチクトウ(草夾竹桃)ともいい、花の香りが花魁(おいらん)のおしろいに似ることから名がついた。北アメリカ原産で、日本には大正初期に渡来したとされる。高さ1メートルで、花期は6~9月。庭植え用であるが、最近は切り花に、また矮化剤利用の鉢物として注目され、すばらしい園芸種が出てきた。品種数は300種近いとされ、耐寒性が強く、つくりやすい。キキョウナデシコは北アメリカのテキサス原産で、高さ15~50センチメートル。このほか、ロック・ガーデン用として数種類みられる。

 栽培は容易で、日当り排水通風のよい所に石灰を施す(石灰質を好む)。春または秋、株間40センチメートルで定植し、3~4年植え替えないでよい。繁殖株分け(4月)、挿木(5月)のほか実生(みしょう)もできる。なおキキョウナデシコは、暖地では9月中旬に播種(はしゅ)し、10月中旬に株間20センチメートルで定植、寒地では苗床を防寒して3月中旬に定植する。とくに寒い所は3~4月播(ま)きがよい。

[魚躬詔一 2021年3月22日]


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改訂新版 世界大百科事典 「フロックス」の意味・わかりやすい解説

フロックス
Phlox

北アメリカの温帯地方に約50種,シベリアに1種が分布しているハナシノブ科フロックス属Phloxの総称。一年草または多年草で,美しい花を春から夏にかけて咲かせ,多くの種が花壇,ロックガーデン,切花に利用される。茎が直立するクサキョウチクトウや匍匐(ほふく)するシバザクラなど生活型に違いがある。クサキョウチクトウ,シバザクラなどの多年草は耐寒力が強く露地で越冬するが,一・二年草のキキョウナデシコは日本では冬季霜よけを必要とする。

 キキョウナデシコP.drummondii Hook.(英名annual phlox,drummond phlox)は北アメリカのテキサス地方原産で,草丈15~30cmになる。葉は下部では広卵形で対生するが,茎の上部では互生する。花は茎頂の集散花序に多数集まって咲く。高杯状で5裂して裂片はほぼ五角形に平開する。花色は原種では桃紅色であるが,園芸品種は紅,ピンク,サケ肉色,紫,クリーム,黄,白などと豊富である。果実は球形で,種子が熟すと蒴果(さくか)は裂開し,種子が飛び散る。採種は摘みとり法による。変種のホシザキ(星咲き)フロックスvar.stellalis Voss(英名star phlox)は花冠の裂片が細く3~5裂して星形に咲く。花色は豊富で,花壇や鉢植えによい。種まきは9~10月,幼苗は露地の育苗床で小鉢植えで養成するが,霜よけの必要がある。開花は5~6月。寒地では春まきして夏に開花させる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フロックス」の意味・わかりやすい解説

フロックス
Phlox

北アメリカ原産のハナシノブ科の1属で約 60種があり,花が美しいため観賞用に栽培される種類も多い。園芸界で通常この名で呼ばれているのはクサキョウチクトウ (一名オイランソウ) P. paniculataとキキョウナデシコ P. drummondii,シバザクラ (モスフロックス) P. subulataなどである。クサキョウチクトウは北アメリカ東部と中部に原産する多年草で,高さ 1m前後となり,長さ 10~12cmの披針形の葉を十字対生につける。夏に,茎の上部に大きな総状花序をつくって,ピンクや白の美花を多数つける。花には細く長い花筒とその上部で急に平開して5枚に割れる花冠があり,平開部の径は2~3cm,のどもとの部分は特に色が濃い。つぼみのとき花冠の上部が布をしぼったように割れている。日本には古くから渡来したが,今日ではむしろ農村地帯に残っていてよく庭先に栽培される。シバザクラは北アメリカ東北部原産の背丈の低い多年草で,庭先や花壇の縁によく植えられ,地面をおおうように繁殖する。よく分枝して小さな葉を多数対生し,春に,各葉腋からサクラソウに似た5弁花を密につける。花色はピンク,白,赤,紫などがある。最近はモスフロックスの名で呼ばれることが多い。

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百科事典マイペディア 「フロックス」の意味・わかりやすい解説

フロックス

おもに北米原産のハナシノブ科の一属で約50種あり,日本でふつうにみられるのは以下の3種。フロックス・ドラモンディ(和名キキョウナデシコ)は半耐寒性の一〜二年草で,秋まきは4〜5月,早春まきは6〜7月に開花する。草たけ30cm内外でよく分枝し,径2.5cmほどの花を多数,集散状につける。花冠は高盆状で5裂し,紅・白・紫など変化多く,裂片が細裂した星咲のものや矮(わい)性品種もある。花壇向きであるが,高性品種は切花にも利用される。フロックス・パニクラタ(和名クサキョウチクトウ,オイランソウとも)は高さ60〜120cmになる耐寒性の多年草。花は夏,茎の上部に円錐状に多数つく。花色は淡紅・白・サーモンピンク色など豊富。花壇,切花に向く。フロックス・マクラタは高さ150cmほどになる多年草。花は径1.3cm,紫紅〜桃色,または白色で,長い円筒状〜円錐状の花序に咲く。本来は夏咲きであるが,施設の併用で,切花として春〜秋に出荷されている。なおシバザクラもフロックスの一種である。

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デジタル大辞泉プラス 「フロックス」の解説

フロックス

アメリカのSFテレビドラマ・映画シリーズ「スタートレック」に登場するキャラクター。テレビシリーズ第5作「スタートレック:エンタープライズ」に登場する異星人、デノビュラ人男性。ドラマの主役艦である宇宙船「エンタープライズ」の主任医療士官。

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