フードバンク(読み)ふーどばんく(英語表記)food bank

翻訳|food bank

共同通信ニュース用語解説 「フードバンク」の解説

フードバンク

包装破損や印字ミスがある、賞味期限近いなどで、主に企業から販売しない食品を寄付してもらい、福祉施設子ども食堂、困窮世帯に無償で提供する活動。食品ロス削減子どもの貧困対策として注目されている。家庭で余っている食品を職場学校に持ち寄って寄付する「フードドライブ」も広がる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フードバンク」の意味・わかりやすい解説

フードバンク
ふーどばんく
food bank

品質上の問題はないにもかかわらず規格外であることや、商品の入替えなどを理由に廃棄されている食品を引き取り、生活困窮者や福祉施設などへ無償で提供する活動、およびそうした活動を実施している団体。食品メーカーや流通小売業者から寄付された余剰食品を一時的にストックし、必要なところへ配分することから、食品の銀行(フードバンク)とよばれる。

 農林水産省推計によると、2015年度(平成27)において、日本で1年間に発生する食品由来の廃棄物約2842万トンのうち、食べられるにもかかわらず廃棄されている食品ロスは、年間約646万トン(事業系357万トンと家庭系289万トンの合計)で減少傾向にはあるものの、2021年度(令和3)においても年間523万トン(事業系279万トン、家庭系244万トン)に上る。これらには品質とは関係がない、ラベルの印字ミスやパッケージの汚れ、賞味期限が近い食品などが含まれる。こうしたなか、まずは小売業などの発生元で食品ロスの抑制に努めつつ、そのうえでなお生じた廃棄物についても、なるべく有効利用する取組みの一環として、フードバンク活動が注目されている。農林水産省では食品の品質確保や衛生管理などに関する手引書を作成し、食品ロスを削減する手段としてフードバンク活動を支援している。また、2015年4月に始まった生活困窮者自立支援制度では、生活に困った人が相談できる窓口の設置が地方公共団体に義務づけられ、これをきっかけにフードバンクと地方公共団体が連携し、食糧を支援する活動が全国的に広がった。フードバンク団体は2014年には全国で39団体であったが、2023年9月時点では252団体に拡大している。

 フードバンクの活動を1967年から行っているアメリカでは、食品メーカーや流通・小売業者から提供された食品だけでは食事の栄養が偏るため、肉や牛乳などを別に購入・配布し、食品ロスの削減と食糧支援を両立させた活動を展開している。食べ物に困った人がだれでも食品提供を受けられる場所が数多くつくられており、全米で約1300(2018)のフードバンク団体が、各地域の協会や、チャリティ、フードパントリー(食品の無料配布を個人に向けて行う活動)などと連携し食品を配布している。ヨーロッパでは、最初のフードバンクが1984年にフランスにおいて設立され、1994年にはイギリスでもフードバンクの活動が始まった。

 日本では2002年に国内初のフードバンク団体が設立された。その後、2015年11月に全国各地で活動を展開する団体によって全国フードバンク推進協議会(本部事務所は東京都豊島(としま)区池袋)が設立された。2024年1月時点では59団体が参加しており、共通のガイドラインに署名し、流通や食品衛生に関する情報共有を進める一方、資金面や人材養成に関し行政や地方公共団体への働きかけなどを行っている。

[編集部 2024年3月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例