日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブラザビル」の意味・わかりやすい解説
ブラザビル
ぶらざびる
Brazzaville
アフリカ中西部、コンゴ共和国の首都。コンゴ川(ザイール川)のスタンリー・プール(湖沼地帯)下流右岸に位置し、対岸のコンゴ民主共和国(旧ザイール)の首都キンシャサと向かい合う。人口118万7000(1999推計)で、同国の人口の約40%が集中する。コンゴの政治、経済、文化の中心地で、内陸水運と大西洋岸への道路、鉄道との接続点にある重要な河港都市でもある。1880年にフランスの探検家ド・ブラザによって建設されたのでこの名があり、フランスの内陸進出の基地として栄えた。1910年、コンゴ、中央アフリカ、ガボンなどの植民地の連合体、フランス領赤道アフリカが形成されると、その首都に定められた。コンゴ川はブラザビルより下流部では急流のため航行できないが、34年、大西洋岸のポアント・ノアールとを結ぶ鉄道が完成した。一方、コンゴ川と支流のウバンギ川を利用して中央アフリカ、チャド方面に至る水運も開かれて、ブラザビルは中継貿易の基地として発展した。60年の独立を経て、近年のブラザビルの都市発達は急速で、64年に14万5000だった人口は約30年間で6倍以上に増加した。住民は、バコンゴ人や地元のテケ人が多いが、全国からの流入者も多い。言語は公用語のフランス語のほか、リンガラ語、コンゴ語、ラリー語が話される。繊維、製紙、ビール醸造、製粉、せっけん、たばこなどの工場がある。1972年創立のマリアン・ヌグアビ大学も所在する。
[赤阪 賢]