貿易貨物が輸出国から輸入国へ直送されず、第三国にいったん陸揚げされ、そこで原形のままあるいは加工を施したのち、本来の輸入国に向けて再輸出される取引をいう。これは、輸出国から輸入国へ直接に輸送するのが政治的に困難であったり、または第三国を経由させたほうが関税が安くなるなどの理由からおこる。中継貿易では、第三国は輸出国に対しては買い手、輸入国に対しては売り手となり、二つの取引の売買契約当事者となる。この点が通過貿易と異なる。また、通過貿易は積み出しに際し輸入地が決まっているが、中継貿易の場合には、最終輸入地が決まらずに蔵置き、加工がなされる場合もある。中継貿易によって第三国には売買差益が入るほか、加工料、運賃、保険料、その他のサービス収入が入る。また、中継貿易は貿易振興や外貨獲得の重要な手段となるため、各種の免税措置を設けて積極的に奨励している国や地域もある。中継貿易港の条件としては、関税のかからない自由港であること、多くの商品が集散する国際的な交通の要所にあること、外貨取引も簡単にできること、などがあげられる。代表的な中継貿易港には香港(ホンコン)やシンガポールがある。なお、中継貿易に似たものに仲介貿易があるが、これは第三国の貿易業者が売買契約当事者とはなるものの、貨物は第三国を経由せず輸出国から輸入国へ直送される。
[秋山憲治]
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貿易形態の一つ。自国の商品を他国Aにそのまま輸出するのではなく,別の他国Bからの輸入品の輸出を主とする。A国とB国の貿易の中継により利益をえた。琉球王国の中継貿易が著名で,王国発展の基礎になった。東南アジア諸国から胡椒(こしょう)・蘇木(そぼく)・象牙などを輸入し,それを明・朝鮮・日本への輸出品としたり,日本から輸入した刀剣・武具・扇子を明に献上するなどした。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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