日本大百科全書(ニッポニカ) 「テラロッサ」の意味・わかりやすい解説
テラロッサ
てらろっさ
terra rossa
炭酸塩の成分に富む岩石、すなわち石灰岩や石膏(せっこう)岩地帯の風化土壌のうち、鉄の酸化物を多量に含むもので、とくにB層にあたる鉄分の集積層が明赤色を呈している。地中海沿岸に広く分布し、イタリア語の語源をもつ土壌名である。カルスト地形の発達しているアドリア海沿岸やスペインの南岸にとくに著しい。テラロッサの赤みは、石灰質母岩の風化に伴って生じた石灰分の溶解物残渣(ざんさ)としての鉄分の色であるが、酸化鉄を含む堅く固化した粘土分が特徴的であって、その生成過程はおそらく数千年以上の長年月の亜熱帯性多湿気候に由来する赤色土化作用によるものとの解釈が有力である。山口県の秋吉台(あきよしだい)などのカルスト台地にみられる赤褐色の土壌も同類である。
[浅海重夫]