日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルトマン」の意味・わかりやすい解説
ブルトマン
ぶるとまん
Rudolf Karl Bultmann
(1884―1976)
ドイツのプロテスタントの新約聖書学者。8月20日オルデンブルク州ビーフェルステーデに生まれる。マールブルク大学の私講師、ブレスラウとギーセン大学の教授を経て、1921年からマールブルク大学の新約学教授。初め聖書の歴史批評的研究から出発し、テキストの文体様式を分類する様式史研究法を用いて『共観福音書(ふくいんしょ)伝承史』(1921)を書いた。バルトらの初期の弁証法神学の運動に参加、キルケゴールに触れ、さらにハイデッガーの哲学から強い影響を受けた。バルトらとともに、反ヒトラーの告白教会の運動に参加した。『イエス』『新約聖書と神話論』(ともに1941)以来、聖書の使信を古代的神話の枠から解放して、現代人の実存において解釈する非神話化を、または実存論的解釈を提唱して、第二次世界大戦後の学界に大反響を呼び起こした。その後マールブルク大学を中心に、伝承史・編集史などの新しい聖書解釈法が生まれ、ブルトマン学派が形成された。
[小川圭治 2018年1月19日]
『『ブルトマン著作集』全15巻(1963~ /オンデマンド版・2004~ ・新教出版社)』▽『R・ブルトマン著、山形孝夫訳『聖書の伝承と様式』(1967・未来社)』▽『山岡喜久男訳『新約聖書と神話論』(1980・新教出版社)』▽『R・ブルトマン著、松本武三訳『知られざる神に』(1980・みすず書房)』▽『熊沢義宣著『ブルトマン』(1962/増訂版・1965・日本基督教団出版局)』