日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブルースターの法則」の意味・わかりやすい解説
ブルースターの法則
ぶるーすたーのほうそく
Brewster's law
1815年、イギリスのブルースターによって導かれた光の反射に関連する法則。偏光していない光(自然光)が、屈折率n1の透明媒質から屈折率n2の透明媒質の境界面にtanθ=n2/n1の関係を満足する入射角θで入射するとき、反射光が入射面(入射光の進行方向と入射点における境界面の法線を含む面のこと。 では紙面)に垂直に振動する直線偏光になるという法則である。この入射角のとき、屈折光は、入射面内に振動する成分のほうが、入射面に垂直に振動する成分より強くなる。また反射光と屈折光のなす角は直角になる。θはブルースターの角または偏光角とよばれる。第1媒質の屈折率が既知のとき、偏光角を測定すれば第2媒質の屈折率が求められる。また第2媒質を薄い層にし、間隔をあけて平行に何枚も重ねたものは、偏光角でそれを透過する光がほぼ完全に入射面内に振動する直線偏光になるので、偏光器として作用する。主として赤外域で用いられ、パイルオブプレート偏光器pile-of-plate polarizerとよばれる。
[田中俊一]