万華鏡(読み)マンゲキョウ

デジタル大辞泉 「万華鏡」の意味・読み・例文・類語

まんげ‐きょう〔‐キヤウ〕【万華鏡】

円筒の中にガラス板三角柱組み合わせ色ガラスセルロイド色紙などの小片を入れ、回しながらのぞく玩具。小片が作り出す模様変化を楽しむ。百色ひゃくいろ眼鏡にしき眼鏡。カレードスコープ。ばんかきょう。

ばんか‐きょう〔バンクワキヤウ〕【万華鏡】

まんげきょう(万華鏡)

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精選版 日本国語大辞典 「万華鏡」の意味・読み・例文・類語

まんげ‐きょう‥キャウ【万華鏡】

  1. 〘 名詞 〙 玩具の一つ。円筒の中に長方形ガラス板を三角に組み、彩色したガラスや紙などの小片を入れ、筒を手でまわしながら、筒の端の穴からのぞくと、さまざまに変化する模様が見えるようにしたもの。にしきめがね。ひゃくいろめがね。ばんかきょう。カレイドスコープ
    1. [初出の実例]「彼自ら謂ふ所の万華鏡の複雑光で変幻極りなかった」(出典:食後の唄(1919)〈木下杢太郎〉序〈北原白秋〉)

ばんか‐きょうバンクヮキャウ【万華鏡】

  1. 〘 名詞 〙 玩具の一つ。円筒の中に長方形のガラス板を三角に組み、彩色したガラスなどの小片を入れ、筒を回しながら、筒の端の穴からのぞくと、美しい模様が見えるようにしたもの。にしきめがね。まんげきょう。
    1. [初出の実例]「涙が出たので、彼の眼に電燈はきらきらと万花鏡(バンクヮキャウ)のやうに輝いた」(出典:血(1927)〈岡田三郎〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「万華鏡」の意味・わかりやすい解説

万華鏡 (まんげきょう)

鏡を用いた玩具の一種。カレイドスコープkaleidoscope。円筒の中に細長い3枚の平面鏡を,鏡面内側にして正三角形にはめこみ,筒の一端すりガラスでおおい,他の端におもにガラスなどの透明で小さな色片を数多く入れる。筒を明るい方向に向けてのぞき穴から見ると,色片が三つの鏡面に写って見える。筒を回すとそれがさまざまに位置を変化させ,同じ模様がふたたび現れず,美しく見えるのでこの名がある。1816年イギリスの物理学者ブルースターDavid Brewster(1781-1868)が発明したという。日本には江戸末期に渡来した。1850年(嘉永3)高野長英訳の《三兵答古知幾》には〈可烈以度斯可布(カレイドスカフ)〉とある。明治期に入って,はじめは〈百色眼鏡(ひやくいろめがね)〉の名で人気をあつめ,さらに改良したものが〈ばんかきょう〉とも呼ばれ,1891-92年ころに流行した。また,〈錦眼鏡(にしきめがね)〉ともいわれ,国産品がつくられるようになって子どもの玩具になった。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「万華鏡」の意味・わかりやすい解説

万華鏡
まんげきょう

カレイドスコープkaleidoscopeの原理を応用してつくった玩具(がんぐ)。「ばんかきょう」ともいう。円筒の中に長方形のガラス板を三角に組み込み、筒の一方の端をすりガラスで覆う。ほかの端に彩色した紙やガラスなどの小片を数多く入れ、筒をのぞきながら回転していくと、内部のきれいな色ガラスの模様の像の位置が動き、さまざまに変化して見える。しかも同じ模様がふたたび現れないので、この名がついた。カレイドスコープは、イギリスの物理学者ブルースターD. Brewster(1781―1868)が発明したものといわれる。光の性質を応用した科学玩具で、日本には江戸時代の末ごろ渡来した。1850年(嘉永3)高野長英が訳した『三兵答古知幾(タクチーキ)』には、「可列以度斯可布(カレイドスカフ)」と出ている。明治の初めには「百色眼鏡」の名で人気を集めた。輸入品を模した国産品も出回ってきて、これを改良、進歩させたものが万華鏡とよばれ、1891、92年(明治24、25)ごろ子供の玩具として流行、「錦(にしき)眼鏡」ともいわれた。

[斎藤良輔]

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百科事典マイペディア 「万華鏡」の意味・わかりやすい解説

万華鏡【まんげきょう】

万花鏡(ばんかきょう),カレイドスコープとも。玩具の一つ。長方形の平面鏡3枚で鏡面を内側にした正三角筒を作り,一端をすりガラスで閉じ,色つきの小さいセルロイドかガラス片を散らして他端からのぞく。鏡の多重反射により美しい模様が見え,筒を回転,振動させると模様が次々に変化する。1816年英国の物理学者D.ブルースターが発明したといわれ,江戸末期に日本に渡来した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「万華鏡」の意味・わかりやすい解説

万華鏡
まんげきょう

英語のカレイドスコープ kaleidoscopeのこと。錦眼鏡,百色眼鏡ともいう。玩具の一種。3枚の鏡で三角柱をつくり,底に色紙,色ガラスの小片を入れ,上ぶたの小穴からのぞくと種々の対称模様が見え,回転させることにより変化が楽しめるもの。

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デジタル大辞泉プラス 「万華鏡」の解説

万華鏡〔映画〕

1999年公開の映画。監督:河瀬直美。出演:有元伸也、尾野真千子、三船美佳ほか。田舎の少女と都会の少女を被写体に、写真家・有元伸也が写真集をとりまとめるまでを撮影したドキュメンタリー。

万華鏡〔小説〕

米国の作家レイ・ブラッドベリのSFファンタジー短編集(1965)。原題《The Vintage Bradbury》。

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