改訂新版 世界大百科事典 「ブレモン」の意味・わかりやすい解説
ブレモン
Henri Bremond
生没年:1865-1933
フランスの聖職者,批評家。17歳でイエズス会に入り,修練期をイギリスですごし,ニューマンの思想に関心をもつ。イエズス会の雑誌《エチュード》の編集にたずさわった(1899-1904)のち在俗司祭となり著述に専念。《宗教的不安》2巻(1901,09),ボシュエを批判しフェヌロンを称揚した《フェヌロンのための弁解》(1910),禁書となった《聖女シャンタル》(1913),16世紀末から17世紀末までのフランス・カトリシズムの形態,とくに神秘主義の表現を論じた《フランスにおける宗教感情の文学的歴史》11巻(1916-36)などの主著によりアカデミー・フランセーズ会員に選出される(1924)。〈純粋詩〉論争ではバレリーの主知主義に対して,《祈りと詩》(1926)のなかで,詩的体験を明らかにする神秘的体験の意義を強調した。ベルナノスの小説《欺瞞》(1927)に登場する悪魔的司祭セナーブルは,近代主義に理解を示したブレモンを戯画化したものである。
執筆者:渡辺 義愛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報