(1)工学用語 ブロック線図ともいう。複数個の要素から構成されるシステムにおいて,要素の結合と要素間の信号伝達のありさまを表す系統図をいう。とくに自動制御系においては解析・設計用の標準的な表現図として用いられる。入力信号uを出力信号yに変換する要素を一つの箱(ブロック)に対応させ,と表し,変換の数学的な表現が既知の場合には,それをブロック内に記入する。このほか信号の結合関係を表すため,信号の加え合せおよび分岐の機能を示す記号をそれぞれ導入し,ブロック線図はこれら三つの基本単位の結合で描かれる。入出力特性が線形の要素同士は,複数個のブロックを1個の等価なブロックにまとめることが可能であり,このため線形要素だけからなる線形システムについては,与えられたブロック線図をそのまま取り扱うのでなく,いくつかのブロックを適当にまとめ,全体として見通しのよい簡単な構造に変換することができる。線形システムについていえば,シグナルフローグラフでも表現できる。信号伝達の系統図という点ではシグナルフローグラフとブロック線図は共通しているが,この両者の相違は,前者がまず信号に着目し,信号(変数)間の結合・変換関係を陽に表現することを意図しているのに対し,後者はシステムを構成する要素に着目し,要素の結合関係を表すことに主点があることである。
執筆者:児玉 慎三(2)地理学用語 広義には地表の起伏を絵画的手法で立体的に描いた図の総称。地形学者W.M.デービスはみごとなブロックダイヤグラムを描いたが,彼自身は地殻を直方体のブロックとして切り取り,俯瞰的に見てその手前に見える切断面に地質構造を描くことによって地形と内部組織の関係を表現し,または数個のブロックを並べて地形の変化を説明したりすることが多かったので,狭義にはその種の立体図式を指す。実在の地域を図化するには,まず地形図から地形の立体的な骨組みを作る必要があり,それには山頂,尾根や谷の分岐点などの地形の要点ごとに対応する高さの垂線を立てる垂線法,等高線をその高さに応じてずらしながら描いていく等高線法などの方法があるが,いずれも透視図法に従って数値の変換や図形の歪曲などを施さなければならず,その繁雑さが作画の障害となっていた。現在では,コンピューターグラフィックスの発達により,この過程も容易に克服できるようになった。
執筆者:佐藤 久
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
正方形・長方形などで仕切ったある区域の地表面の形を、斜め上方から見下ろしたとして描いた図。普通、地形図をもとにして、対象区域を斜め上方から透視したとして変形した等高線図を描き、各等高線を標高に応じて(垂直縮尺を誇張することが多い)上方に移動し、これに毛羽や陰影をつけて作成する。また、上方移動した等高線の末端をつないだ側方断面線や、ブロックの手前側の側面を描く。側面に地質断面を描いて、地形と地質構造との関係を表すこともできる。最近では、地形図に細かな方眼をかけ、その交点の座標と標高の値から、コンピュータを利用して作図することも行われている。
[五條英司]
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