日本大百科全書(ニッポニカ) 「ブーゲンビレア」の意味・わかりやすい解説
ブーゲンビレア
ぶーげんびれあ
[学] Bougainvillea
オシロイバナ科(APG分類:オシロイバナ科)の不耐冬性低木または半つる性低木。葉腋(ようえき)につける花房に、白色の小花を包むように3枚の包葉があり、紫桃、紫紅、桃、橙(だいだい)、白色などを呈して美しい。花のつかない葉腋には、鋭い刺(とげ)がつく。南アメリカ原産。よく栽培されるイカダカズラB. spectabilis Willd.は葉は丸みを帯びてやや大きく、包葉も先端に丸みがあり、やや大きい。ミセスバットやサンディエゴなど大輪品種がある。また、テリハイカダカズラB. glabra Choisy.は茎はやや細く、葉は小形で照り葉、包葉は三角形でとがり、やや小さい。包葉数の多い八重咲き品種や、葉に白い斑(ふ)の入る品種(バリエガータ)もある。
熱帯、亜熱帯地方ではグランドカバー、フェンス、スタンダード仕立ての庭木など広く戸外で観賞されるが、温帯地方では花木鉢物として、2月から6月ころまで利用される。繁殖は挿木によるが、品種によっては発根しにくいものがあるので、挿すときに発根ホルモンを切り口にまぶすとよい。鉢植え用土は赤土に腐葉土を30%くらい混ぜた水はけのよいものを用いる。茎は、そのままだと1本で伸びるので、ときおり枝先を切って株元から多数の枝が出るようにする。8~9月はやや乾きぎみを保ち、矮化(わいか)剤を散布すると、よく開花する。栽培には十分日に当てることが必要である。生育適温は20~25℃。5℃以上で越冬する。
[鶴島久男 2021年2月17日]
文化史
1766年、フランスのルイ15世は南半球の未知の大陸の発見のために2隻の艦船を派遣したが、それに同行していた植物学者のコメルソン(コマーソンPhilibert Commerson、1727―1773)は途中リオ・デ・ジャネイロで新しい花木をみいだし、艦長ブーゲンビル中佐L. A. de Bougainvilleに献上し、ブーゲンビレア属の名をたてた。ブラジルでは当時すでに栽培下にあり、植物学者ベローゾJose M. da C. Vellosoはジョセファ属Josephaを設けていたが、出版が遅れ、コメルソンに先を越された。
[湯浅浩史 2021年2月17日]