プシロフィトン(その他表記)Psilophyton

デジタル大辞泉 「プシロフィトン」の意味・読み・例文・類語

プシロフィトン(〈ラテン〉Psilophyton)

原始的な陸生シダ植物シルル紀末からデボン紀地層化石が発見される。地下茎から高さ1メートル内外の細い地上茎が出て、葉はなく、とげがある。

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精選版 日本国語大辞典 「プシロフィトン」の意味・読み・例文・類語

プシロフィトン

  1. 〘 名詞 〙 ( [ラテン語] psilophyton ) 古生代シルル紀末からデボン紀の地層から化石として発見された原始的シダ植物一つ。高さ二〇センチメートル内外。葉と根がなく、茎に鱗片状の突起を生じる。胞子嚢楕円体で茎の先端に着く。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「プシロフィトン」の意味・わかりやすい解説

プシロフィトン
Psilophyton

古生マツバラン類(無葉類)のトリメロフィトン目に属する絶滅シダ植物の1属。ドーソンJ.W.Dawsonが1859年にカナダガスペ半島の前期デボン紀の地層から報告したプシロフィトン・プリンセプスP.princepsは葉も根もなく〈葉のない植物〉という意味でプシロフィトンと命名され,初期の陸上植物と考えられた。ドーソンの復元図はばらばらに産した化石をまとめて作りあげたもので別植物の部分も含まれ,後の混乱の原因となった。彼の書いた水平の地下茎は別植物のもので,今日でもこの植物の下部は不明だが,主茎をもつことがトリメロフィトン目の特徴で,このことは初期のライニア目よりは進化したことを示している。直径1cm,高さは少なくとも1mくらい。茎の表面は突起物でおおわれたものと,突起物をもたないものとある。突起物は葉に進化するものと考えられたこともあったが,気孔もなく,維管束もないことから,現在では腺と考えられている。アーバーE.A.N.Arber(1921)はプシロフィトンを中心としたデボン紀前期の植物をプシロフィトン植物群Psilophyton flora,デボン紀後期の植物をアルカエオプテリス植物群Archaeopteris floraとし,前者を陸上植物初期のものと考えた。現在では主茎をもったプシロフィトンより古く,主茎がなく二叉(にさ)分枝する裸枝のみのライニア目が初期陸上植物と考えられ,プシロフィトン植物群の名は使用されなくなった。

 主茎がなく裸枝の先端に胞子囊をつけたライニア目Rhyniales,裸枝の側面に胞子囊をつけたゾステロフィルム目Zosterophyllales,主茎を形成したトリメロフィトン目Trimerophytalesなど,葉のない植物はまとめて古生マツバラン類と呼ばれる。胞子囊を頂生するライニア目と側生するゾステロフィルム目とは異系統の植物と考える学者もおり,そのときは異系統を含む古生マツバラン類という分類名は成立しない。しかし便宜的に葉のない植物をひとまとめにして古生マツバラン類とし,同じ進化段階にある植物の意として,使用している学者もある。このことはシダ植物,裸子植物被子植物の場合も同じで,これらは分類名でなく,同じ進化段階にある異系統の植物をまとめたものと考える学者もある。
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百科事典マイペディア 「プシロフィトン」の意味・わかりやすい解説

プシロフィトン

デボン紀に栄えた古生マツバラン類。全長1mで根も葉もなく,茎が地下茎から生じ,それがさらに枝分れし,末端には胞子嚢をもつ。かつては最古の陸上植物とされたが,その後シルル紀の地層から発見されたライニア類が最古のものと考えられている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プシロフィトン」の意味・わかりやすい解説

プシロフィトン
Psilophyton

シダ植物古生マツバラン綱古生マツバラン目の化石属。原始的なシダ植物で,葉はなく,刺状の突起と毛がある。幹は横にはう地下茎から直立し二叉に分岐し,細い地上茎となる。沼沢地に群生していたものと考えられている。シルル紀後期からデボン紀中期に栄えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プシロフィトン」の意味・わかりやすい解説

プシロフィトン
ぷしろふぃとん

トリメロフィトン類

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