プラウト(読み)ぷらうと(英語表記)William Prout

日本大百科全書(ニッポニカ) 「プラウト」の意味・わかりやすい解説

プラウト
ぷらうと
William Prout
(1785―1850)

イギリスの医師、化学者。グロスターシャーのホールトンの農家に生まれる。エジンバラ大学医学を修め(1811)、ロンドンで開業しながら科学研究をする。尿からの尿素抽出、胃液中の塩酸の発見、食物の分類(水、炭水化物脂肪、タンパク)などの業績のほかに、無署名で発表した「プラウトの仮説」(1815~1816)がある。これは、水素を単位とすると他元素の原子量は整数値をとり、水素は他の元素をつくる第一物質であるというものである。この説は活発な論議をよび、原子量の精密測定周期律の発見につながる元素の分類を推し進める力になった。

[肱岡義人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「プラウト」の解説

プラウト
プラウト
Prout, William

イギリスの医師,化学者.1808年エジンバラ大学に入学し,1811年医学博士号を取得.ロンドンのセントトーマス,セント・ガイ両病院での勤務を経て,当地で内科医を開業.1819年ロイヤル・ソサエティ会員,1827年同会コプリ・メダルを授与される.尿から純度の高い尿素を抽出し,はじめて元素分析を行い(1817年),動物体の胃液が塩酸を含むことを発見する (1824年)など,消化器,泌尿器官の病理学的・化学的研究がおもな業績である.また,すべての元素の原子量は水素の原子量の整数倍であり,水素がほかのすべての元素を形づくる始原物質であると主張した“プラウトの仮説”(1816~1817年)が有名である.この仮説は19世紀の化学界を刺激し,原子量の精密測定と元素の進化,原子構造に関する思弁を促した.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プラウト」の意味・わかりやすい解説

プラウト
Prout, Samuel

[生]1783.9.17. プリマス
[没]1852.2.10. キャンバーウェル
イギリスの画家,石版画家。特に水彩画家として知られている。 1803年アカデミーに初出品,のち「水彩画協会展」に出品しその会員となる。 19年以後しばしばヨーロッパ大陸を訪れ,フランス,ドイツ,イタリア,オランダなどの建物や歴史的風景を描いて名声を博した。主要作品『ライン点描』 (1824) 。主著『風景画の技法,進歩的研究』 The Rudiments of Landscape,With Progressive Studies (13) 。

プラウト
Prout, William

[生]1785.1.15. グロスターシャー
[没]1850.4.9. ロンドン
イギリスの化学者。エディンバラ大学で医学を修め (1811) ,ロンドンで開業するかたわら,実験室をつくり,生理学を講じた。純粋尿素の単離,胃液内の塩酸の発見,食物の脂肪,炭水化物,蛋白質の分解機構の解明など多くの業績を残したが,特に有名なのは,1815年のプラウトの仮説である。

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