日本大百科全書(ニッポニカ) 「プレーリー土」の意味・わかりやすい解説
プレーリー土
ぷれーりーど
prairie soil
半乾燥気候下のプレーリー草原に対応する土壌としてこの名があるが、アメリカのプレーリー地方でよばれていたもので、ブルニゼムbrunizemの呼称が現在では一般的である。ステップの草原よりも密度の濃いプレーリーでは、多量の腐植が集積して厚い暗色の表土をつくり、塩基の流乏は軽微であるためいわゆる肥沃(ひよく)度の高い土壌が出現している。腐植集積過程がその断面にみられるのが特徴であって、チェルノゼムと同類であるが、降水量がチェルノゼム地帯より多く、森林植生との移行地帯にあたるので塩基の溶脱傾向がみられ、カルシウム分の集積層は確認されない。アメリカ大平原のコーンベルトのほか、アルゼンチンのパンパもこの土壌の代表的分布域の一つである。湿潤地との帯状分布関係から、褐色森林土への移行、あるいはユーラシアの高緯度側ではポドゾル、灰色森林土への移行が認められる。
[浅海重夫]