日本大百科全書(ニッポニカ) 「プログラム・ピクチャー」の意味・わかりやすい解説
プログラム・ピクチャー
ぷろぐらむぴくちゃー
program picture
もともとはアメリカの映画用語。初期の映画作品は1本あたりの上映時間が極端に短かったため、興行では数本の作品を集めて番組(プログラム)を編成し、スクリーンにかけるのが通例だった。しかし1900年代になると、しだいに上映時間の長い作品が登場するようになる。この背景のもと、1914年あたりに出現し始めた5巻くらいの長編映画がプログラム・ピクチャーと称されるようになった。興行番組の看板作品となったからである。
しかし日本では、とくに1950年代から1970年代にかけて量産された規格品的な作品をこうよぶ。当時は、長編作品の2本立てや3本立てで番組が組まれ、かつ番組内容も定期的に入替えが行われていた。つまり、こうした番組興行を維持するために製作されたのが、日本のプログラム・ピクチャーである。しかし1980年代以降、しだいに封切館では1本立てが通常の興行形態となり、いまでは映画館で目にすることはほとんどなくなった。
[奥村 賢 2022年6月22日]