小林正樹(読み)コバヤシマサキ

デジタル大辞泉 「小林正樹」の意味・読み・例文・類語

こばやし‐まさき【小林正樹】

[1916~1996]映画監督北海道の生まれ。木下恵介師事。「息子の青春」で監督デビュー。力強いタッチの社会派作品で知られる。代表作は、全6部の大作人間の条件」、記録映画東京裁判」のほか、「切腹」「怪談」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小林正樹」の意味・わかりやすい解説

小林正樹
こばやしまさき
(1916―1996)

映画監督。大正5年2月14日、北海道小樽(おたる)区(現、小樽市)に生まれる。1941年(昭和16)早稲田(わせだ)大学文学部を卒業して松竹助監督として入社。1952年(昭和27)に『息子青春』を監督第一作として発表。しばらくは師匠だった木下恵介(けいすけ)の作風に似た抒情的な青春映画をつくっていたが、1953年、BC級戦犯苦悩を扱った『壁あつき部屋』で注目される。1959年から1961年にかけて日本人の戦争責任に真向から取り組んだ『人間の條件(じょうけん)』6部作を9時間の大作として発表、日本の戦争映画の最良の作品とした。堂々とした構えの力いっぱいの大作を得意とし、1962年のカンヌ国際映画祭審査員特別賞を得た『切腹』や、1964年ふたたび同じ賞を得た小泉八雲(やくも)原作の『怪談』などは、そうした本領を発揮した作品として国際的にも広く知られている。ほかに東京国際裁判(極東国際軍事裁判)の法廷のやりとりをアメリカ側が記録したフィルムなどをもとにしてつくった長篇ドキュメンタリー作品『東京裁判』(1983)がある。平成8年10月4日没。

佐藤忠男

資料 監督作品一覧

息子の青春(1952)
まごころ(1953)
壁あつき部屋(1953)
三つの愛(1954)
この広い空のどこかに(1954)
美(うる)わしき歳月(1955)
泉(1956)
黒い河(1956)
あなた買います(1956)
人間の條件 第一部純愛篇・第二部激怒篇(1959)
人間の條件 第三部望郷篇・第四部戦雲篇(1959)
人間の條件 完結篇 第五部死の脱出・第六部曠野の彷徨(1961)
からみ合い(1962)
切腹(1962)
怪談(1964)
上意討ち 拝領妻始末(1967)
日本の青春(1968)
いのちぼうにふろう(1971)
化石(1975)
燃える秋(1978)
東京裁判(1983)
食卓のない家(1985)

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20世紀日本人名事典 「小林正樹」の解説

小林 正樹
コバヤシ マサキ

昭和・平成期の映画監督



生年
大正5(1916)年2月14日

没年
平成8(1996)年10月4日

出生地
北海道小樽市

学歴〔年〕
早稲田大学文学部〔昭和16年〕卒

主な受賞名〔年〕
毎日映画コンクール監督賞(昭36年度)「人間の条件」,キネマ旬報賞監督賞(昭42年度)「上意討ち」,カンヌ国際映画祭監督功労賞〔昭和46年〕,毎日映画コンクール作品賞(昭50年度)「化石」,ブルーリボン賞作品賞(昭50年度)「化石」,紫綬褒章〔昭和59年〕,勲四等旭日小綬章〔平成2年〕,毎日映画コンクール特別賞(第51回 平8年度)〔平成9年〕,日本アカデミー賞会長特別賞(第20回 平8年度)〔平成9年〕

経歴
大学では東洋美術を専攻し、会津八一に師事。昭和16年松竹大船撮影所助監督部に入り、軍隊生活を経て、21年に復員、木下恵介監督に師事する。27年「息子の青春」で監督デビュー。「壁あつき部屋」「あなた買います」「黒い河」で評価され、34〜36年の大長編反戦映画「人間の条件」5部作で監督としての確固たる地位を築く。以後も「切腹」「上意討ち」「化石」「食卓のない家」などの名作を手がけた。57年足かけ5年の歳月をかけた長編記録映画「東京裁判」を完成させた。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「小林正樹」の意味・わかりやすい解説

小林正樹
こばやしまさき

[生]1916.2.14. 小樽
[没]1996.10.4. 東京
映画監督。早稲田大学卒業。 1941年松竹に入社。翌年応召,46年帰国。木下恵介の助監督を経て,『息子の青春』 (1952) 以後監督。重厚な力作が多い。初期の『まごころ』 (53) ,『この広い空のどこかに』 (54) の庶民的な抒情的佳作で注目され,BC級戦犯の手記の映画化『壁あつき部屋』 (53) は松竹により 56年まで上映延期されるという不運にあいながら,以後現代社会を批判した『あなた買います』 (56) や日中戦争を批判した『人間の条件』 (6部作,59~61) の大作を発表。さらにカンヌ国際映画祭で『切腹』 (62) ,『怪談』 (65) が特別賞を受け,国際的地位を確立した。そのほか『上意討ち』 (67) ,『いのちぼうにふろう』 (71) ,『化石』 (75) ,『燃える秋』 (78) など。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「小林正樹」の解説

小林正樹 こばやし-まさき

1916-1996 昭和後期-平成時代の映画監督。
大正5年2月14日生まれ。木下恵介に師事。昭和27年「息子の青春」で監督デビュー。「あなた買います」「黒い河」のあと,34年からの「人間の条件」6部作でベネチア映画祭サン-ジョルジュ賞。「切腹」「怪談」でカンヌ国際映画祭審査員特別賞。記録映画「東京裁判」も話題となった。平成8年10月4日死去。80歳。北海道出身。早大卒。

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367日誕生日大事典 「小林正樹」の解説

小林 正樹 (こばやし まさき)

生年月日:1916年2月14日
昭和時代の映画監督
1996年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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