改訂新版 世界大百科事典 「プロセス工学」の意味・わかりやすい解説
プロセス工学 (プロセスこうがく)
process engineering
化学プロセスの計画,設計,制御に関する工学で,プロセスシステム工学とも呼ばれる。化学プロセスは反応,吸収,蒸留などの単位操作から構成されているが,これら個々の要素の設計理論が比較的早くから確立されていたのに反し,これらを組み合わせたシステムとしての設計理論は特別にはなかった。プロセスが単純であった場合は,これら個々の要素の設計をつなぎ合わせるだけでもよかったが,化学プロセスで要素装置の数がふえ構成が複雑化すると,これを一つのシステムとみて解析し総合する体系が必要になった。これがプロセス工学である。これは電気工学の回路網理論に相当するが,内容ははるかに複雑である。プロセス工学の内容は,指定された設計条件のもとで,プロセスの物質収支,熱収支を求めるプロセスシミュレーション,設計条件を指定せず最適な条件を探索するプロセス最適化,さらにパラメーターの最適化ばかりでなく,システムの構成の最適化を求める最適合成などの分野がおもなものである。
執筆者:西村 肇
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報