日本大百科全書(ニッポニカ) 「プーシキン美術館」の意味・わかりやすい解説
プーシキン美術館
ぷーしきんびじゅつかん
Музей Изобразительных Искусств имени А. С. Пушкина/Muzey Izobrazitel'nïh Iskusstv imeni A.S. Pushkina ロシア語
State Puschkin Museum 英語
モスクワにあり、サンクト・ペテルブルグのエルミタージュ美術館に次ぎ、ロシア第二の規模を誇る美術館。モスクワ大学学生の教材として収集された作品を展示する美術館として、1912年、同大学教授イワン・ツベターエフの提唱により開館。当時はモスクワ大学付属アレクサンドル3世美術館とよばれていたが、管轄が変わってのち、創立25周年とロシア近代文学の父プーシキンの没後100年を記念して、1937年現在の名称に改称された。当初はギリシア・ローマの彫刻、イタリアや北欧彫刻のコピー、エジプト美術を並べるくらいであったが、この内容を充実させる一方、革命後は私有財産の国有化に伴ってヨーロッパ美術の名作が集められ、絵画コレクションの充実が図られた。古代から現代に至る幅広い所蔵品のなかでも、フランス近代絵画のコレクションは世界的に名高い。また、ベルリン市内の美術館から疎開されて、1945年以来行方がわからなくなっていたシュリーマンによるトロイの発掘遺品、いわゆる「プリアモスの宝物」の所蔵が、93年、明らかにされた。
[湊 典子]