ヘリック(読み)へりっく(英語表記)Robert Herrick

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘリック」の意味・わかりやすい解説

ヘリック
Herrick, Robert

[生]1868.4.26. マサチューセッツケンブリッジ
[没]1938.12.23. バージン諸島,シャーロットアマーリア
アメリカ小説家。ハーバード大学卒業 (1890) 。シカゴ大学英文学を講じる (93~1923) かたわら,シカゴを舞台に商業主義産業主義に毒された現代社会をテーマにした多くの小説を発表。代表作『宿の主』 The Master of the Inn (08) のほか,『大衆』 The Common Lot (04) ,『あるアメリカ市民の回想』 The Memoirs of an American Citizen (05) ,『ある女の一生』 One Woman's Life (13) 。

ヘリック
Herrick, Myron Timothy

[生]1854.10.9. オハイオ,ハンティントン
[没]1929.3.31. パリ
アメリカの弁護士,銀行家,外交官。オハイオ・ウェズレイアン大学卒業。 1878年弁護士になり,銀行業や実業方面でも活躍。 86~94年ソサエティ・フォーセービングで会計係をつとめ,のちに同銀行の頭取会長となった。 1901年アメリカ銀行協会会長,03~06年オハイオ州行政長官をつとめ,12~14年フランス駐在大使となり,第1次世界大戦勃発当初の戦争犠牲者救済活動に尽力戦後も 21~29年再度フランス駐在大使をつとめた。

ヘリック
Herrick, Robert

[生]1591.8.24. 〈洗礼ロンドン
[没]1674.10. デボンシャー
イギリス詩人聖職者ケンブリッジ大学を出て牧師となったが,王党派であったため共和政府によって職を奪われた。王政復古によって復職。 B.ジョンソンの系譜に連なる「王党派詩人」の第一人者で牧歌的背景のなかで女性への愛を歌った。『ヘスペリデス』 Hesperides (1648) が代表的詩集。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘリック」の意味・わかりやすい解説

ヘリック(Robert Herrick(1868―1938))
へりっく
Robert Herrick
(1868―1938)

アメリカの小説家。ハーバード大学卒業後、約30年間シカゴ大学で英文学を講じる。新興産業都市シカゴの物質的繁栄と道徳的退廃、とくに商業主義に毒されていく市民たちを写実的に描く『共通の運命』(1904)がよく知られている。だがこの東部出身の頭脳は、現実描写のみに満足せず、個人の自由と道徳性を重視する理想主義を掲げる。瞑想(めいそう)と労働によって自己救済を図る『宿屋の主人』(1908)はその作品例である。

[岩瀬悉有]


ヘリック(Robert Herrick(1591―1674))
へりっく
Robert Herrick
(1591―1674)

ベン・ジョンソンの流れをくむイギリスの詩人。J・ダンの骨太な形而上(けいじじょう)詩風と対照的に、きわめて優雅、繊細なエリザベス朝風を特色とし、素朴なスタイルを支えるみごとな技巧は見逃せない。地方の一牧師として平穏な日々を送りながら、ローマ古典の風土とイギリスの田園を融合し、恋を歌い、「小川と花と小鳥と樹陰」を歌った。詩集『ヘスペリデス』(1648)が代表作。

[河村錠一郎]

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