シャム闘魚(英名Siamese fighting fish)として知られるタイ原産のスズキ目キノボリウオ科の淡水魚。6cmほどの小型種。タイでは池,用水路などにふつうに見られ,ボウフラ退治に重要な役割を果たしていると考えられている。飼育の場合は人工餌料でもよいが,アカムシ,イトミミズなど生き餌を好む。雄はなわばりをもち,それをおかすものとは激しく闘うことで知られる。これを利用し古くからタイでは闘魚が盛んで,このための飼育がされてきた。稚魚(ちぎよ)のうちはいっしょに飼えるが,成熟すると雄は1尾ずつ別々の容器に飼わなければならない。いっしょにするとかみ合ってひれをぼろぼろにし,体を傷つけ合う。迷器(迷路器官)という空気呼吸器官を鰓室(さいしつ)上部にもつので,酸素不足には強い。雄が吹き出した泡で浮巣をつくり,雌に産卵させる習性はよく知られている。野生型は灰褐色か緑色で暗色帯があるだけだが,長い間に数多くの型がつくり出され,観賞魚として売られているものは緑色,輝青色,紅色,黒色ときわめて多彩であり,また,雄のひれはとくに長くのびている。雌は黄褐色で暗色の横縞がある。
→トウギョ
執筆者:清水 誠
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…スズキ目キノボリウオ科の闘争性の強い魚の総称。タイ原産のベタBetta splendens(イラスト)が代表的だが,近縁種にも闘争性の強いものがある。トウギョ属のタイクンキンギョMacropodus opercularis,チョウセンブナM.chinensis(イラスト)などがその仲間で,英名をparadise fishという。…
…低温に強く,飼いやすいじょうぶな魚である。(e)ベタ(イラスト)Siamese fighting fish∥Betta splendens ベトナム,タイ,マレー半島原産。全長6cm。…
…スズキ目キノボリウオ科の闘争性の強い魚の総称。タイ原産のベタBetta splendens(イラスト)が代表的だが,近縁種にも闘争性の強いものがある。トウギョ属のタイクンキンギョMacropodus opercularis,チョウセンブナM.chinensis(イラスト)などがその仲間で,英名をparadise fishという。…
…このような習性の魚は,あらかじめ水槽に産卵床となる石や水草を入れておき,雌雄が繁殖行動に入ったら,それ以外の魚を別の水槽に移して繁殖を待つ。ベタやブルーグーラミなどは水面に雄が泡の巣をつくり,その下へ雌を誘って卵を産ませるが,その後は雄のみで卵を守るので雌は取り出す。 卵から孵化した稚魚には,自分で泳ぐようになってから餌を与える。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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