べた(読み)ベタ

デジタル大辞泉 「べた」の意味・読み・例文・類語

べた

[名・形動]
すきまなく物が並んでいること。一面に広がっていること。また、そのさま。「べたに塗りたくる」「今週はべたに予定が詰まっている」
印刷用の絵や漫画などで、単色(主に黒色)で塗りつぶすこと。また、網点あみてん印刷で、網点面積が100パーセントの状態。「べたを入れる」
俗に、ひねりがなく、面白味に欠けるさま。「べた駄じゃれ
べた焼き」の略。「べたで焼く」
べた組み」の略。「ぎっしりべたで組む」
名詞、また名詞に準じる語の上に付いて、すっかり、完全に、などの意で、下の動作を強める言い方。「べたぼめ」「べた惚れ」「べたなぎ

ベタ(betta)

闘魚とうぎょ。また、その近縁種を含めた総称。キノボリウオ科ベタ属に分類される。

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精選版 日本国語大辞典 「べた」の意味・読み・例文・類語

べた

  1. [ 1 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 すきまのないさま。一面に広がっているさま。また、すっかりその状態になっているさま。びっしり。
    1. [初出の実例]「わっちゃあんまりべたで恥しいが、いっそぬしにどうかしたよ」(出典:洒落本・深川手習草紙(1785)中)
    2. 「一寸見当の付かないものが、べたに描いてある」(出典:草枕(1906)〈夏目漱石〉八)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 多く動詞を名詞化した語の上に付いて、すきまなく一面に及ぶ、また、すっかりそうなるなどの意を添える。「べた塗り」「べた書き」「べたぼめ」「べたぼれ」など。
    1. [初出の実例]「戦後」(出典:<出典>もはや)
  3. [ 3 ] 〘 名詞 〙
    1. べたやき(━焼)」の略。
    2. べたぐみ(━組)」の略。
      1. [初出の実例]「六号ベタ二十字詰二十九行三段一頁のが八頁もあり」(出典:社会観察万年筆(1914)〈松崎天民〉現代の女学生)
    3. 印刷物で、ある部分のすべてがインキで覆われている状態をいう。網点印刷では、網点面積が一〇〇%のこと。また転じて、印刷用の絵などで、ある部分を黒く塗りつぶすこと。「ベタを入れる」
      1. [初出の実例]「紙の上段には、天アキ、ベタぬきと朱印を捺したり」(出典:守礼の門(1948)〈丹羽文雄〉)

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改訂新版 世界大百科事典 「べた」の意味・わかりやすい解説

ベタ
betta
Betta splendens

シャム闘魚(英名Siamese fighting fish)として知られるタイ原産のスズキ目キノボリウオ科の淡水魚。6cmほどの小型種。タイでは池,用水路などにふつうに見られ,ボウフラ退治に重要な役割を果たしていると考えられている。飼育の場合は人工餌料でもよいが,アカムシイトミミズなど生き餌を好む。雄はなわばりをもち,それをおかすものとは激しく闘うことで知られる。これを利用し古くからタイでは闘魚が盛んで,このための飼育がされてきた。稚魚(ちぎよ)のうちはいっしょに飼えるが,成熟すると雄は1尾ずつ別々の容器に飼わなければならない。いっしょにするとかみ合ってひれをぼろぼろにし,体を傷つけ合う。迷器(迷路器官)という空気呼吸器官を鰓室さいしつ)上部にもつので,酸素不足には強い。雄が吹き出した泡で浮巣をつくり,雌に産卵させる習性はよく知られている。野生型は灰褐色か緑色で暗色帯があるだけだが,長い間に数多くの型がつくり出され,観賞魚として売られているものは緑色,輝青色,紅色,黒色ときわめて多彩であり,また,雄のひれはとくに長くのびている。雌は黄褐色で暗色の横縞がある。
トウギョ
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百科事典マイペディア 「べた」の意味・わかりやすい解説

ベタ

キノボリウオ科の魚。全長6cm。タイの原産。熱帯魚として広く飼育される。赤,青,白,紫など色彩はさまざまで,ひれが発達していて美しい。なわばりをもつ雄は相手が倒れるまでたたかう性質がある。この性質を利用してタイでは闘魚が盛ん。
→関連項目トウギョ(闘魚)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「べた」の意味・わかりやすい解説

ベタ
べた

トウギョ

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とっさの日本語便利帳 「べた」の解説

ベタ

何のひねりもなく面白味がないこと。「ベタなギャグ」。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「べた」の意味・わかりやすい解説

ベタ

「ベタ・スプレンデンス」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内のべたの言及

【トウギョ(闘魚)】より

…スズキ目キノボリウオ科の闘争性の強い魚の総称。タイ原産のベタBetta splendens(イラスト)が代表的だが,近縁種にも闘争性の強いものがある。トウギョ属のタイクンキンギョMacropodus opercularis,チョウセンブナM.chinensis(イラスト)などがその仲間で,英名をparadise fishという。…

【熱帯魚】より

…低温に強く,飼いやすいじょうぶな魚である。(e)ベタ(イラスト)Siamese fighting fish∥Betta splendens ベトナム,タイ,マレー半島原産。全長6cm。…

【トウギョ(闘魚)】より

…スズキ目キノボリウオ科の闘争性の強い魚の総称。タイ原産のベタBetta splendens(イラスト)が代表的だが,近縁種にも闘争性の強いものがある。トウギョ属のタイクンキンギョMacropodus opercularis,チョウセンブナM.chinensis(イラスト)などがその仲間で,英名をparadise fishという。…

【熱帯魚】より

…このような習性の魚は,あらかじめ水槽に産卵床となる石や水草を入れておき,雌雄が繁殖行動に入ったら,それ以外の魚を別の水槽に移して繁殖を待つ。ベタやブルーグーラミなどは水面に雄が泡の巣をつくり,その下へ雌を誘って卵を産ませるが,その後は雄のみで卵を守るので雌は取り出す。 卵から孵化した稚魚には,自分で泳ぐようになってから餌を与える。…

※「べた」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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