食の医学館 の解説
べりーるいくらんべりーぶるーべりー【ベリー類クランベリー・ブルーベリー】
《栄養と働き》
ベリー類とは、庭や原野、森林でとれる小さな食べられる実のことをいいます。草の実と木の実の2種類に大別されます。
草の実はほとんどがキイチゴの仲間で、なかでもブラックベリーやラズベリーが知られています。木の実にはグーズベリーやカシスのスグリ類、ブルーベリーやクランベリーに代表されるコケモモ類のほか、グミやクワなど多くの種類があり、栄養成分や薬効もそれぞれです。
○栄養成分としての働き
キイチゴの仲間は、ビタミンCが比較的多いほかは、カロテン・B群、ナイアシンなども含みますが、さほど多くはありません。むしろカリウムが多く、高血圧予防に役立ちます。
〈クランベリーは尿路感染症、歯周病に効果を発揮〉
クランベリーは北米原産で、アメリカでは感謝祭の七面鳥料理につきものです。クランベリーが前立腺炎(ぜんりつせんえん)や尿路感染を予防・改善することはアメリカでは周知のことですが、それはクランベリーに尿のpHを下げ、細菌の付着や増殖を抑えるキナ酸と、細菌が結合してバリアをつくるのを防ぐプロアントシアニジンというタンニンの一種が含まれるためです。また、キナ酸とプロアントシアニジンの働きにより、歯垢(しこう)の形成を防いで歯周病や歯肉炎(しにくえん)を防ぎますし、カルシウム沈着により起こる腎臓結石(じんぞうけっせき)を溶かす効果もあると考えられています。
さらにクランべリーには、抗酸化作用のあるポリフェノール類が多く含まれ、心臓病やがん予防も期待されています。
〈視力回復効果で、人気急上昇中のブルーベリー〉
目を酷使するOA機器の普及により、眼精疲労や視力低下に悩む人が多くなっています。そんな現代にピッタリのくだものがブルーベリーで、ヨーロッパでは25年以上も前から眼精疲労、夜間の視力低下、胃潰瘍(いかいよう)の医薬品として使われてきました。
ブルーベリーの青紫色にはアントシアニンという色素成分があり、これが網膜(もうまく)にあるロドプシンという物質の再合成を活発化させます。ロドプシンは光の作用により瞬時に分解と再合成をくり返し、それが脳に伝わって視覚となるのです。
また、ブルーベリーは下痢(げり)止めとしても知られています。ブルーベリーに含まれるアントシアノサイドという物質が、大腸菌や感染性の細菌、ウイルスを殺すためです。この物質は、血管壁にコレステロールが沈着するのを抑制し、動脈硬化を予防するとも考えられています。
生のブルーベリーも最近は見かけますが、目の不調を改善するなら乾燥品が効率的です。
目をよくする目的でのアントシアニン摂取量は1日120~250mgといわれますが、生だと90~180mg、乾燥品はその4分の1ですみます。アントシアニンは熱に強いので、乾燥しても失われる率が少なく、また、野生種には栽培種の5倍~10倍ものアントシアニンが含まれているといわれます。
《調理のポイント》
ベリー類はきれいな色や愛らしい形、甘酸っぱさで人気が高くなってきました。生の果実をケーキの飾りに用いるほか、ジャムやジュースにします。また、果実酒にすると美しい色のお酒が楽しめます。ドライのベリー類を加えたフルーツ系ハーブティーも各種市販されています。