ホイッティア(読み)ほいってぃあ(英語表記)John Greenleaf Whittier

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホイッティア」の意味・わかりやすい解説

ホイッティア
Whittier, John Greenleaf

[生]1807.12.17. マサチューセッツ,ヘーバヒル
[没]1892.9.7. マサチューセッツ,ハンプトンフォールズ
アメリカの詩人,奴隷制廃止論者。クェーカー教徒の農家に生れ,子供の頃から R.バーンズ詩集などに親しんで詩作を始めた。種々の雑誌編集にたずさわるかたわら書いた詩,散文を集め,『ニューイングランドの伝説』 Legends of New England (1831) として発表。南北戦争前後からは熱心な奴隷制度の反対者として活発な論陣を張り,『バーバラ・フリチー』 Barbara Frietchie (64) ,『神をほめたたえよ』 Laus Deo! (65) などの詩を残す一方,晩年は熱心なクェーカー教徒として,宗教的な詩を数多く書いた。ほかに,ニューイングランド農村の生活を歌った有名な長詩『雪に閉ざされて』 Snow-Bound (66) など。

ホイッティア
Whittier

アメリカ合衆国,カリフォルニア州南部の住宅都市ロサンゼルス東方 20kmに位置する。 1887年から入植が始り,各州からクェーカー教徒が移住した。第2次世界大戦前はオレンジクルミの木立ちと酪農場に囲まれた小さな町であったが,ロサンゼルスの発展つれ,その大都市圏に含まれた。北西部のローズヒル記念公園はアメリカ合衆国最大の墓地の一つ。地名は詩人でクェーカー教徒の J.ホイッティアにちなむ。人口7万 7671 (1990) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホイッティア」の意味・わかりやすい解説

ホイッティア
ほいってぃあ
John Greenleaf Whittier
(1807―1892)

アメリカの詩人。マサチューセッツ州のクェーカー教徒の農家に生まれる。独学で子供のころからロバート・バーンズ流の詩を書き、やがて雑誌の編集や地方政治活動に従事、奴隷解放運動にも活躍。反奴隷制詩集『自由の声』(1846)、クェーカーの信仰を反映した『労働讃歌(さんか)』(1850)、奴隷解放時の喜びの詩『神を讃(たた)えよ!』(1865)などが中期の代表作。南北戦争後は、少年時代の田舎(いなか)の生活を追憶する長詩『雪ごもり』(1866)を中心に、ニュー・イングランドの農村をモチーフに、荒削りながら素朴で、風土に根ざした詩作に新境地を開いた。

[池田孝一]

『斎藤光訳『労働讃歌』(『世界名詩集大成第11巻 アメリカ篇』所収・1962・平凡社)』

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