日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホタルガ」の意味・わかりやすい解説
ホタルガ
ほたるが / 蛍蛾
[学] Pidorus glaucopis
昆虫綱鱗翅(りんし)目マダラガ科に属するガ。はねの開張45~50ミリメートル。体翅とも黒く、頭部背面は赤い。前翅には1本の白帯がある。触角は雌雄とも櫛歯(くしば)状であるが、雄のほうが枝が長い。日本本土、対馬(つしま)、沖縄本島、および台湾、中国などに分布する。昼飛性で、チョウと同じように日中飛び回るが、灯火にもよく飛来する。幼虫はヒサカキやサカキの葉を食べる。幼虫・成虫ともに特異な臭(にお)いのある体液を分泌するため食虫性の鳥や獣類が敬遠する。年2回、6~7月と8~9月に成虫が出る。若齢幼虫で越冬する。本種によく似たシロシタホタルガは後翅の基部から中央部にかけて白いので区別される。幼虫はサワフタギにつく。
[井上 寛]