日本大百科全書(ニッポニカ) 「サワフタギ」の意味・わかりやすい解説
サワフタギ
さわふたぎ / 沢蓋木
[学] Symplocos sawafutagi Nagam.
Symplocos chinensis (Lour.) Druce var. leucocarpa (Nakai) Ohwi form pilosa (Nakai) Ohwi
ハイノキ科(APG分類:ハイノキ科)の落葉低木で高さ2~3メートル。葉は互生し、倒卵形、長さ4~7センチメートルで光沢がなく、縁(へり)に細鋸歯(さいきょし)がある。5~6月、枝先にウメの花に似た小白花が円錐(えんすい)花序に集まって開く。花冠は深く5裂し、雄しべは多数。果実はゆがんだ卵形、長さ6~7ミリメートル、秋に瑠璃(るり)色に熟す。名は、山地の谷間に生え、沢を覆って茂る意味で、北海道から九州、さらに朝鮮半島、中国に分布する。果実の白く熟すものをシロミノサワフタギという。近縁のタンナサワフタギS. coreana (Lév.) Ohwiは樹皮が灰白色で、葉の鋸歯が鋭く、果実が碧黒(へきこく)色に熟すので区別され、関東地方以西に分布する。枝葉を焼いた灰は紫根(しこん)染めの媒染剤に使われ、材は堅くて強いので道具の柄(え)にする。
[小林義雄 2021年4月16日]