日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホタ」の意味・わかりやすい解説
ホタ(スペインの民謡と民俗舞踊)
ほた
jota
スペインの民謡と民俗舞踊。北東部のアラゴン地方が本場とされるが、各地に多くのバリアンテ(変種)が存在する。ホタの名称は、この音楽を伝えたアラビアの詩人の名に由来するとの説もあるが、跳躍するという意のsotar(ソタール)に由来するという説が、今日では有力である。
音楽は6/8または3/4拍子で、主和音と属和音とが交替する和声のなかで、旋律がA・B・A・C・D・C・Eと進行し、これに対して歌詞が、a・b・a・c・d・d・aと進行する形を基本とする。舞踊は、民俗衣装を身に着けた男女が活発に踊るもので、とくに男性の高い跳躍が特徴的である。伴奏はロンダリャrondallaとよばれる民俗的合奏団により、リュート、ギター、タンバリン、カスタネットなどを用いて行われる。前奏、間奏、後奏は軽快だが、コプラといわれる独唱の部分では伴奏は控え目になる。
芸術作品としてのホタは、ファリャの『スペインの七つの民謡』の第4曲が有名だが、スペインの作曲家はもとより、ロシアのグリンカやフランスのシャブリエなどの作品にも用いられている。
[アルバレス・ホセ]