ホンコン特別行政区(読み)ホンコン(その他表記)Hong Kong

翻訳|Hong Kong

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ホンコン特別行政区」の意味・わかりやすい解説

ホンコン〔特別行政区〕
ホンコン
Hong Kong

中国南東部,コワントン(広東)省シェンチェン(深圳)特別市に接する特別行政区普通話では「シヤンカン」と発音する。1997年6月30日までイギリス直轄植民地 Crown Colonyで,国王の任命する総督が統治していた。カオルーン(九竜)半島,ランタオ島(大嶼島,大濠島),ホンコン島,ランマ島などからなる。政治的には,中国から南京条約(1842)で割譲されたホンコン島,北京条約(1860)で割譲されたカオルーンと,1898年に 99年間の期限で租借したニューテリトリーズ(新界)に分かれる。花崗岩山地が多く,植生は貧弱。熱帯季節風気候北端にあたり,月平均気温は約 16℃(1月)~29℃(7月)。年降水量は 1300mmで 5~8月に集中し,8月には台風の通過が多い。イギリスの中国進出の拠点となり,ビクトリアは自由貿易港として中継貿易で発展してきた。1949年中華人民共和国の成立に前後して,シャンハイ(上海)の紡績資本を中心に資本の流入があり,また多数の中国人の移住もあって軽工業が発達した。中国とイギリスは 1982年以降,ホンコン返還をめぐる交渉を重ね,1984年12月に共同声明(→ホンコン返還協定)に調印,1997年7月1日をもってホンコン全土は中国に返還された。ホンコン基本法に基づき,返還後 50年間は,資本主義体制と高度な自治が維持されることになっている(→一国二制度)。1972年以後,外国資本の投下が盛んになり,工業地域はホンコン島北岸,カオルーンとその周辺から,ニューテリトリーズのツェンワンシャティンなどにも広がった。また旧ホンコン政庁のニュータウン計画によって,大規模な住宅団地,道路,地下鉄の建設も進んだ。工業は紡織,縫製を中心に電子,プラスチック製品,精密機械,電器造船などが盛んで,輸出総額の 90%以上を占める。1979年からは中国のコワントン省,フーチエン(福建)省などに合弁企業が設立され,華南への物資や観光客の中継地としての役割も強まっている。世界各国からの金融機関が集中し,シンガポールと並ぶ東南アジアの金融センターとなっている。「東洋の真珠」と呼ばれる都市景観,亜熱帯風物,中国情緒などによって,観光客も数多く訪れている。公用語中国語であるが,人口の 98%を広東人が占め,日常生活では広東方言が使われている。面積 1104km2。人口 743万4000(2018推計)。

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