改訂新版 世界大百科事典 「ボウエンギョ」の意味・わかりやすい解説
ボウエンギョ (望遠魚)
Gigantura chuni
サケ目ボウエンギョ科の深海魚。眼が円筒状に前方へ突出しているのでボウエンギョと呼ばれる。体は細長く円筒形で尾びれの下半分が著しく延長する。体は銀色でうろこがない。口は巨大で胸びれ直下まで裂けている。両あごに鋭い大きな歯をもち,自分より2倍も大きい魚を丸のみにできる。背びれは体の後半部に位置し,しりびれは小さく背びれ後端の下に位置する。胸びれは著しく高い位置にあり大きく,うちわ状に上方に向かって開く。腹びれとあぶらびれはない。全長15cmに達する。発光魚を捕食していることが多い。その際,低照度でもよく機能する望遠眼は目的とする魚の発光を遠くから捜しあて,気づかれずに近づくために役だっていると考えられている。熱帯大西洋の水深300~1000mの層に生息する。ボウエンギョ科Giganturidaeの魚は全世界に約5種が知られており,いずれも望遠眼,巨大な口,鰓孔(さいこう)より上に胸びれのあることで他科の魚と容易に区別される。
→深海魚
執筆者:川口 弘一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報