ボリジ(読み)ぼりじ(英語表記)borage

翻訳|borage

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボリジ」の意味・わかりやすい解説

ボリジ
ぼりじ
borage
[学] Borago officinalis L.

ムラサキ科(APG分類:ムラサキ科)の一年草で、和名はルリヂシャ。古くから薬用植物として利用される。原産地は南ヨーロッパ。草丈は50センチメートル内外。茎にも葉にも粗毛が多い。葉は長さ10~20センチメートルの楕円(だえん)形で、白いうぶ毛に覆われ、ふちには粗い鋸歯(きょし)と剛毛がある。学名の「ボラーゴ」は、「粗毛」というラテン語に由来している。6~8月に葉のつけ根からさそり形花序を出し、直径2~3センチメートルの瑠璃(るり)色で星形の花を下向きに開く。開花が始まると、つぼみが次々にできて、1か月くらい咲き続ける。花には、甘味と酸味がある。

[森田洋子・福田泰二 2021年7月16日]

利用

葉はキュウリに似た香りがあり、サラダに入れる。花もサラダの彩りや砂糖菓子として楽しめる。古代ローマ人たちは、人を元気づけ、悲しみや憂鬱(ゆううつ)を忘れさせてくれるハーブとして、ワインに浮かべて飲んでいたというが、ボリジの特徴を生かした理にかなった利用法である。

 ケルト語で「勇気」、ウェールズ語で「喜び」を意味するようになった「ボラーゴ」の抑鬱薬としての評価は高い。ボリジの成分であるカルシウムミネラル副腎(ふくじん)に働きかけ、花と葉はカリウムなど塩類に富み、強壮薬であるとともに血液を浄化する働きもある。また、種子に含まれるガンマ-リノール酸は多くの疾患に効果があり、新鮮な若葉は、発熱の際に口に含むことで解熱剤の役割を果たす。ペースト状にした葉は、打ち身捻挫(ねんざ)の湿布薬として用いるとよい。

 春に種を播(ま)くと夏に、秋に播くと春に咲くが、一度植えればこぼれ種が成長する。良質の土壌を好み、葉の重さで茎が倒れることがあるので、つねに葉を収穫し、身軽な状態を維持してやることが必要である。

[森田洋子・福田泰二 2021年7月16日]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボリジ」の意味・わかりやすい解説

ボリジ
Borago officinalis; common borago; borage

ボラゴともいい,和名はルリジサムラサキ科の一年草。南ヨーロッパ原産。単葉は互生し,茎葉全体が白い粗毛におおわれる。よく分枝し,茎頂に十数個の花をつける。空色の花冠は5裂し,弁先はとがってそり返る。紫色や白花もある。葉にはキュウリに似た香りがあり,ハーブとして日本でも栽培される。幼葉は生食または炒め物やてんぷらにされ,花はケーキやサラダの装飾として利用される。春または秋に種子をまき,日当りと水はけのよい環境で育てる。高温多湿にはやや弱い。こぼれ種からも発芽する。

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