ボルガウラル油田(読み)ボルガウラルゆでん

改訂新版 世界大百科事典 「ボルガウラル油田」の意味・わかりやすい解説

ボルガ・ウラル油田 (ボルガウラルゆでん)
Volga-Ural

ロシア南西部にあり,同国最大級の油田群。ウラル・ボルガ油田ともいう。ただし,これらの名称は単一の油田に与えられたものではなく,日本の国土面積の約2倍もある70万km2にわたる石油埋蔵地域の総称である。この地域の中の各地に個々の油井グループが散在する。もともと西はボルガ川,東はウラル山脈のすそ野で限られた地域であったが,現在では新しい油井がボルガ川のはるか西方でも開発されつつあり,範囲はさらに拡大している。また,天然ガスもあわせて噴出するので,ボルガ・ウラル油・ガス田Volgo-Ural'skii neftegazonosnyi basseinと呼ばれ,範囲はタタールスタンバシコルトスタン,ウドムルトの3共和国,サラトフ,ボルゴグラード,シンビルスク,キーロフなどの各州にまたがっている。油徴は18世紀からボルガの舟引労働者にまで知れわたっており,20世紀初頭には多くの試掘が行われたが成功しなかった。1929年に中部ウラルの西麓で最初の油井を掘りあて,32年には現在,ボルガ・ウラル油田の中心となっているイシンバイIshimbai(バシコルトスタン共和国)で試掘に成功,その後第2次世界大戦中に生産は急増した。56年には全ソ連の産油量の63%を占めるに至った。最大の油田は1948年に発見されたロマシュキノRomashkino油田で,究極可採鉱量は172億バレル,すでに146億バレルが生産されている。

 含油層の所在は地表から500~600mないし2000mとかなり深く,上部シルル系~デボン系(とくに上部デボン系に豊富に埋蔵されている)~二畳系に含油層がみられる。油井数は全域で1000に近い。原油は高品質とはいえず,硫黄分やパラフィン分が多い。

 この油田の開発により,ウファ,サラトフ,シズラニ,サマラ,イシンバイなどボルガ沿岸の工業都市や油田の中心地に,多くの精油,石油化学,探査・掘削用機械,鋼管製造などの新しい工業部門が付け加わった。石油は長距離パイプラインによって,東はイルクーツク付近まで,西はモスクワ,東ヨーロッパ諸国にまで輸送されるほか,タンカーによってボルガ川流域から各地に運ばれる。
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百科事典マイペディア 「ボルガウラル油田」の意味・わかりやすい解説

ボルガ・ウラル油田【ボルガウラルゆでん】

ロシア,ボルガ川中流域とウラル山脈との間にある油田。単一の油田ではなく,広大な石油埋蔵地域の総称で,天然ガスも産出。第二バクーとも。大部分は地下数百mから2kmまでの深さにある。1929年に最初の油井が掘りあてられ,1956年には旧ソ連の産油総額の63%を占めるに至った。ボルガ川などの水運,パイプラインによって各地に送られている。
→関連項目サラトフシズラニバクーバシコルトスタンロシア

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボルガウラル油田」の意味・わかりやすい解説

ボルガ・ウラル油田
ぼるがうらるゆでん

第二バクー油田

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