ペルム紀(読み)ペルムキ(英語表記)Permian period

デジタル大辞泉 「ペルム紀」の意味・読み・例文・類語

ペルム‐き【ペルム紀】

Permian period地質時代の区分の一。古生代最後の紀で、石炭紀のあとの時代。2億8900万年前から2億4700万年前まで。両生類紡錘虫が繁栄し、裸子植物が発展しはじめた。南半球には広く氷河が発達した。名は、ウラル地方のペルミで模式的な地層がみられるところから。地層が大きく二分されるので、二畳紀にじょうきともいう。

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精選版 日本国語大辞典 「ペルム紀」の意味・読み・例文・類語

ペルム‐き【ペルム紀】

  1. 〘 名詞 〙 ( ペルムはウラル山脈西麓の地名 Pjerm' から ) 地質時代の一区分。古生代の最後の紀。動物では紡錘虫・両生類、植物ではシダ類などが栄え、また、アンガラ大陸ゴンドワナ大陸を分けてテチス海があった。二畳紀

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ペルム紀」の意味・わかりやすい解説

ペルム紀
ぺるむき
Permian period

古生代の最後の地質時代で、二畳紀ともいう。古生代石炭紀と中生代三畳紀との間の約2億9890万年前から約2億5217万年前までの約4673万年の期間に相当する。ペルム紀に形成された地層をペルム系という。ペルム紀の名称は、石炭紀の夾炭(きょうたん)層の上に、化石を多産するかつての呼称二畳紀の海成層が模式的に発達する、ウラル山脈の西麓(せいろく)ペルムPerm(ペルミPerm')にちなんでイギリスの地質学者マーチソンが1841年に命名した。国際的にはペルム紀が紀の正統名として使用されているが、日本・中国では慣用的に二畳紀を使用する場合もある。二畳紀の名称は、ドイツのダイアスDyas(二つの層という意味)の訳語に由来する。ドイツをはじめとして西ヨーロッパでは、同時代の地層は、新赤色砂岩層を含む下部層と、石灰岩白雲岩、岩塩、石膏(せっこう)層を主体とした上部層より成り立っている。二畳紀の名はこれより生じた。

 石炭紀末に超大陸パンゲアが形成された結果、シベリア大陸とヨーロッパ大陸の間にあったウラルの海域、南半球のゴンドワナ大陸と北半球のヨーロッパ・北アメリカ大陸の間の海域が陸化し、超大陸の内部に広い砂漠が発達するようになり、また、ゴンドワナ大陸では極を中心に大規模な大陸氷河が発達した。その結果、大陸では乾燥化と寒冷化が進行し、植物では、石炭紀に栄えた鱗木(りんぼく)や封印木などのシダ植物は姿を消し、かわりに乾燥に耐えられる裸子植物が著しい発展を始める。脊椎(せきつい)動物では、単弓(たんきゅう)類の哺乳(ほにゅう)類型爬虫(はちゅう)類が発展を遂げた。このグループの盤竜類は乾燥した一連の環境に進出し、大型化し、なかには植物食に進化したグループもいた。盤竜類の子孫である獣弓類は本紀後期に放散し、分布範囲をより寒冷な高緯度まで拡大した。爬虫類では、この紀に放散が生じ中生代での発展へと引き継がれる。海域では、大規模な氷河の発達による海水準の低下によって、大陸棚の浅海部が失われ、三葉虫、四放サンゴ類、腕足類など古生代を代表する海生無脊椎動物は、急速に衰退し、当紀末までには、当紀に低緯度のテチス海域で栄え、重要な示準化石標準化石)となった紡錘虫類や一部のアンモナイト、ほかの多くの無脊椎動物とともに絶滅していった。

 ペルム紀末は生物界の歴史において最大の大量絶滅事件が起こり、生物にとっての一大危機となった時期である。海生種では、科の約50%が、種では約95%が絶滅した。また陸生動物でも、哺乳類型爬虫類など爬虫類のおもだった系統は三畳紀まで生き延びたが、属や種のレベルではほとんどが絶滅した。本紀に起こった生物の大量絶滅の原因についてはいくつもの仮説が提出されているが、超大陸パンゲアが大きくかかわっていたことは間違いない。考えられる要因として、極域の大規模な大陸氷河、気候の冷温化、大陸内部の乾燥化、乾燥化に伴う大陸の湾入部での大規模な岩塩層の堆積(たいせき)によって海水塩分濃度が低下したこと、大規模な氷河形成によって海水準が低下し大陸棚浅海部が消失し浅海生物の生息地が消失したこと、海水温低下による溶存酸素量の低下、本紀末に起こった激しい火山活動による急激な温暖化による陸域の環境劣化と海水循環の停止による海洋底の貧酸素化などが考えられ、実際にはこれらの要素が複雑にからみ生態系が崩壊し生物種の絶滅が進行していったものと考えられる。

 ペルム紀の地層は世界各地に広く分布する。南半球のゴンドワナ大陸では、厚い陸成層の発達が知られる。テチス海域では、厚い石灰岩の堆積が行われた。日本には海成のペルム系がよく発達しており、テチス海域のものと共通する多くの無脊椎動物化石を産する。

[小澤智生 2015年8月19日]

『ドゥーガル・ディクソン著、小畠郁生監訳『生命と地球の進化アトラスⅡ デボン紀から白亜紀』(2003・朝倉書店)』

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百科事典マイペディア 「ペルム紀」の意味・わかりやすい解説

ペルム紀【ペルムき】

古生代を6分した場合の最後の地質時代名。2億9000万年前から2億4500万年前まで。名はウラル山地西麓の地名(ペルム)に由来。ドイツのこの紀の地層が2層からなるので二畳紀と呼ばれたこともある。石炭紀から続いて,裸子植物,フズリナ,両生類が繁栄。フズリナ,床板(しょうばん)サンゴ,四放サンゴ,古生代型腕足類,三葉虫などは本紀を最後に絶滅。バリスカン造山運動が前紀から続く。本紀の初期に,特に南半球に広く氷河が発達。日本の秩父古生層はかつて大部分が本紀のものとされた。
→関連項目ウミリンゴエダフォサウルスグロッソプテリス古生代コルダイテス獣弓類セイモウリア石炭ディメトロドンテコドントフズリナペルミメソサウルス鱗木蘆木

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ペルム紀」の意味・わかりやすい解説

ペルム紀
ペルムき
Permian Period

地質時代の年代区分の一つで,古生代の最後の。二畳紀ともいう。模式地ウラル山脈の西麓ペルム付近。約 2億9890万年前から約 2億5217万年前までの期間にあたる。古生代後期,デボン紀から始まったバリスカン造山運動の最終変動期にあたり,全般的に陸化が進んだ。この紀の末には古生代に繁栄した多くの生物が絶滅し,一方,中生代以降栄えた生物の先祖型が出現し始めた。フズリナ(紡錘虫),サンゴが重要な示準化石で,時代の細区分に役立つ。

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改訂新版 世界大百科事典 「ペルム紀」の意味・わかりやすい解説

ペルム紀 (ペルムき)

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世界大百科事典(旧版)内のペルム紀の言及

【二畳紀】より

…ペルム紀ともいい,地質時代区分の一つ。古生代最後の紀で,両生類時代ともされ,今から2億8600万年前から2億4800万年前までの期間をさす。…

※「ペルム紀」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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