ポリビニルアルコール(読み)ぽりびにるあるこーる(英語表記)polyvinyl alcohol

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリビニルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ポリビニルアルコール
ぽりびにるあるこーる
polyvinyl alcohol

水溶性プラスチックの一種ポバールpovalともよばれ、PVAと略称される。ポリ酢酸ビニルメタノールメチルアルコール溶液にカ性ソーダのメタノール溶液を加えて加温すると、白い沈殿として生成する。

 PVAは、水以外の普通の有機溶媒には不溶の白色粉末。140℃ぐらいまで安定である。織物の糊(のり)、紙のサイジングなどや乳化安定剤などに用いられる。水以外の溶媒には溶けないので油に触れる部分の包装材料、オイルタンクの内張りなどの特殊な用途がある。病院などの洗濯物回収袋で水に溶けるものはこのフィルムである。PVAの15%ぐらいの水溶液を細孔から引き出し、硫酸ナトリウムの飽和水溶液中に押し出して糸にしたものをホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)でアセタール化したものが合成繊維ビニロンである。

垣内 弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポリビニルアルコール」の意味・わかりやすい解説

ポリビニルアルコール
polyvinyl alcohol

ポリ酢酸ビニルを酸またはアルカリ加水分解することにより得られる,水酸基を有する水溶性の重合体である。ポバールとも呼ばれる。ビニロンは,ポリビニルアルコールを紡糸したあと,ホルマリンを作用させて耐水性を向上させたものであり,1939年に日本で発明された合成繊維である。ポリビニルアルコールはビニロンの原料としてのほか,糊剤,接着剤などとして用いられている。

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