ポバールpoval,PVAとも呼ばれる。ビニルアルコールの重合物に相当する高分子化合物であるが,ビニルアルコールは不安定で,実際には存在しえないため,ポリ酢酸ビニルを加水分解して,ポリビニルアルコールを製造する。
一般にはポリ酢酸ビニルのメチルアルコール溶液に苛性アルカリのメチルアルコール溶液を加え,50~60℃に加温し,加水分解する。ポリビニルアルコールは水以外には溶けない粉末であり,沈殿として析出する。強い接着力があり,織物用糊剤,紙のサイズ剤,乳化剤などに用いられる。フィルムは強靱(きようじん)でガスバリヤー性(気体を透過させない性質)が高い。ポリビニルアルコールの10~15%水溶液を硫酸ナトリウムの飽和溶液中に紡糸し,得られたポリビニルアルコール繊維をホルマール化したものが合成繊維のビニロンである。
執筆者:森川 正信
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水溶性プラスチックの一種。ポバールpovalともよばれ、PVAと略称される。ポリ酢酸ビニルのメタノール(メチルアルコール)溶液にカ性ソーダのメタノール溶液を加えて加温すると、白い沈殿として生成する。
PVAは、水以外の普通の有機溶媒には不溶の白色粉末。140℃ぐらいまで安定である。織物の糊(のり)、紙のサイジングなどや乳化安定剤などに用いられる。水以外の溶媒には溶けないので油に触れる部分の包装材料、オイルタンクの内張りなどの特殊な用途がある。病院などの洗濯物回収袋で水に溶けるものはこのフィルムである。PVAの15%ぐらいの水溶液を細孔から引き出し、硫酸ナトリウムの飽和水溶液中に押し出して糸にしたものをホルマリン(ホルムアルデヒド37%水溶液)でアセタール化したものが合成繊維のビニロンである。
[垣内 弘]
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(2020-1-27)
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… ハイバルク・アクリル繊維 高度に延伸したアクリルと未延伸アクリルを混ぜて紡いだ糸を湯につけて,延伸アクリルだけを収縮させて作ったかさ高い糸であり,セーター用に好まれる。
[ポリビニルアルコール系]
ビニロンVinylon(商標)は日本で開発された繊維である。1939年に京都大学の桜田一郎らにより発明された。…
※「ポリビニルアルコール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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