改訂新版 世界大百科事典 「ポレシエ」の意味・わかりやすい解説
ポレシエ
Poles'e
ロシア,ベラルーシ,ウクライナの3国にまたがる地域名。湿地と松林が織りなす特異な景観で知られる。主としてプリピャチ川の流域で,東部はドニエプル川,デスナ川の流域にもまたがる。面積約27万km2。最高点はウクライナ北部の孤立したオブルチ丘陵の316m。他は標高100~200mと低平であるが,比高10~20m程度の砂堆や小さな丘陵が随所に高まる。低地部は湿地あるいは砂地で,所によっては湿原や,松,モミ,ハンノキ,シラカバ,ブナなどの林が見られ,高まりはほとんど松林となる。この地域の総面積の30%は森林で,ポレシエの名称は〈森林に沿う地域po lesu〉という意味である。年間降水量は500~600mm。地層は第四紀の氷河のもたらした砂礫(されき),粘土や周氷河地形と後氷期の沖積層よりなる。現在,排水が最大の懸案で,徐々に排水と土壌改良が行われ,小麦,カラスムギ,麻,ジャガイモの栽培,牛や豚の飼育地帯となっている。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報