マムシグサ(読み)まむしぐさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マムシグサ」の意味・わかりやすい解説

マムシグサ
まむしぐさ / 蝮草
[学] Arisaema serratum (Thunb.) Schott

サトイモ科(APG分類:サトイモ科)の多年草。カントウマムシグサともいう。偽茎は長く、1メートルに達するものもある。葉は普通は2枚で、下のものが大きく、鳥足状に7~17枚の小葉をつける。小葉間の葉軸はよく発達する。花期は3~7月。花序の付属体は基本的に棒状で柄がある。しかし、花序や小葉の形状には著しい変化がある。類似種に仏炎包(ぶつえんほう)が褐紫色で幅広く、付属体が棍棒(こんぼう)状に肥大するオオマムシグサ、仏炎包が褐紫色で舷部(げんぶ)が細長く伸びるヤマトテンナンショウ、仏炎包が緑色で付属体が細棒状のホソバテンナンショウなどがある。北海道から九州、および韓国の済州島に分布する。名は、偽茎上の斑紋(はんもん)がマムシを思わせることによる。

[邑田 仁 2022年1月21日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マムシグサ」の意味・わかりやすい解説

マムシグサ(蝮草)
マムシグサ
Arisaema japonicum

サトイモ科テンナンショウ属の多年草。単にテンナンショウの名でこの種をさすこともある。日本各地の林下などに普通にみられる。地下の球茎は扁球形でこれから伸びる長い葉柄 (偽茎) は茎のように直立し,紫褐色のまだらがあってマムシに似ている。葉は偽茎の頂部近くに左右に2個開出し,小葉7~15枚から成る鳥の足跡状の複葉である。晩春に,偽茎の頂部から,緑色または紫褐色の仏炎包に包まれた肉穂花序を出す。肉穂の先端は太く,軸上に多数の小さな花を密集してつける。雌雄異株であるが性別はその年の栄養状態で異なり,球茎が十分に大きければ雌株となる。雌花は花後に丸い液果をつけ赤く熟する。味は辛い。

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