ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マルドーン」の意味・わかりやすい解説
マルドーン
Muldoon, Robert
[没]1992.8.5. オークランド
ニュージーランドの政治家。首相(在任 1975~84)。フルネーム Robert David Muldoon。中等教育まで受けたのち,第2次世界大戦中の 1940年に軍隊に入り南太平洋とイタリアに派遣された。その間に会計学を学び,会計士として成功,1956年にニュージーランド原価会計士協会会長を務めた。1960年に国会議員に選出され,観光大臣(1967),財務大臣(1967~72),副首相(1972),党代表(1974~75)を歴任。1975年11月の選挙でニュージーランド国民党を勝利に導き,ニュージーランド労働党との議会勢力を逆転させた。首相在任中は経済の低成長,高インフレーション,失業の増加,巨額の対外累積債務と債務増に悩まされた。石油の輸入への依存が事態をさらに悪化させた。マルドーンはおおむね保守的な財政政策で臨み,減税措置や産業振興,補助金,輸入関税その他の対策を柔軟に用いて経済の微調整をはかり,過度のインフレーションを回避し均衡のとれた経済成長を目指した。外交政策では断固として反ソビエト連邦の姿勢を貫き,アンザス条約のもとでアメリカ合衆国とオーストラリアとの防衛協力態勢をあらためて強調した。1984年の選挙で労働党に敗れ,首相の座をデービッド・ロンギに譲った。
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